動画編集をしていると、パソコンのファンが爆音で回り始めることがある。特にレンダリングやエフェクトのプレビュー中は、ファンの音が気になって集中できないという人も多いのではないだろうか。
ファンがうるさくなるのにはきちんとした原因があり、適切な対策を取ることで騒音を大幅に軽減できる。この記事では、動画編集中にCPUファンがうるさくなる原因と、具体的な対策方法をソフトウェア面・ハードウェア面の両方から解説していく。

CPUファンがうるさくなる原因
まず、なぜ動画編集中にファンが激しく回転するのか、その原因を理解しておこう。
原因1:CPUやGPUの温度上昇
動画編集はCPUとGPUに非常に高い負荷をかける処理だ。エフェクトの適用、カラーグレーディング、レンダリング(書き出し)といった作業では、CPUやGPUがフル稼働し、温度が急上昇する。ファンは温度を下げるために回転速度を上げるため、結果的に騒音が大きくなる。
原因2:ホコリの蓄積
パソコン内部や吸排気口にホコリが溜まると、冷却効率が著しく低下する。本来であればファンが低速回転で済む場面でも、ホコリのせいで冷却が追いつかず、ファンがフル回転してしまうことがある。
ホコリの除去には、吸排気口に吹き付けられるエアダスターが手軽だ。1本置いておくと、気づいたときにすぐ掃除できる。
原因3:CPUクーラーの性能不足
標準付属のCPUクーラー(リテールクーラー)は、最低限の冷却性能しか持っていないことが多い。動画編集のような高負荷な用途では、リテールクーラーでは冷却が追いつかず、ファンが常に高回転で回ることになる。
原因4:バックグラウンドプロセスの影響
動画編集ソフト以外にも、ブラウザの大量タブ、クラウド同期ソフト、アンチウイルスのスキャンなどがバックグラウンドで動いていると、CPU負荷が加算されてファンの回転が上がる原因になる。
原因5:室温が高い
夏場や暖房の効いた部屋では、パソコン内部の温度が上がりやすい。室温が高いとファンが冷却しなければならない温度差が大きくなり、回転数が増加する。

ソフトウェア面での対策
まずは、お金をかけずにすぐ試せるソフトウェア面での対策を紹介する。
対策1:不要なバックグラウンドプロセスを終了する
タスクマネージャー(Windows)またはアクティビティモニタ(Mac)を開いて、CPU使用率の高いプロセスを確認しよう。動画編集に関係のないアプリやプロセスを終了することで、全体のCPU負荷を下げることができる。
特にブラウザの大量タブ、クラウド同期(DropboxやOneDrive)、アンチウイルスのリアルタイムスキャンなどはCPU負荷が高いため、編集中は一時的にオフにするのも手だ。
対策2:電源プランを変更する(Windows)
Windowsの電源プランを「高パフォーマンス」から「バランス」に変更したり、「プロセッサの電力管理」で最大CPU使用率を90〜95%に制限したりすることで、発熱を抑えてファンの回転を穏やかにできる。
設定方法は、コントロールパネル → 電源オプション → プラン設定の変更 → 詳細な電源設定 → プロセッサの電力管理 → 最大のプロセッサの状態、で変更できる。
対策3:プロキシ編集を活用する
4K以上の高解像度素材をそのまま編集するとCPU負荷が高くなる。低解像度のプロキシファイルに変換してから編集すれば、CPU負荷を大幅に軽減できる。Premiere ProやDaVinci Resolveにはプロキシ編集機能が搭載されている。
対策4:GPUアクセラレーションを有効にする
動画編集ソフトのGPUアクセラレーション機能を有効にすることで、CPUの負荷をGPUに分散できる。CPUへの集中的な負荷が減れば、CPUファンの回転数も抑えられる。
ハードウェア面での対策
ソフトウェアの対策だけでは限界がある場合は、ハードウェアの改善を検討しよう。
対策5:パソコン内部の清掃
エアダスター(圧縮空気スプレー)を使って、ファンや吸排気口に溜まったホコリを除去するのが最も効果的な基本対策だ。デスクトップPCの場合はケースを開けてファン周辺を清掃、ノートPCの場合は吸排気口にエアダスターを吹き付ける。
半年に1回程度の定期清掃を推奨する。
対策6:CPUクーラーをアップグレードする(デスクトップPC)
リテールクーラーから、大型のサイドフロークーラーやトップフロークーラー、あるいは簡易水冷クーラー(AIO)に交換することで、冷却性能と静音性の両方を大幅に改善できる。
静音性で定評のある製品としては、Noctua(ノクチュア)のNH-D15やNH-U12Sなどが知られている。簡易水冷では240mm〜360mmラジエーターのモデルが冷却性能と静音性のバランスに優れている。
対策7:ケースファンの増設・交換
ケース内のエアフロー(空気の流れ)が悪いと、排熱がうまくいかずにCPU温度が上がりやすくなる。ケースファンを増設したり、静音性の高いファンに交換したりすることで改善が期待できる。
対策8:ノートPC用の冷却スタンドを使う
ノートPCの場合、冷却ファン内蔵のノートPC用クーリングスタンドを使うことで、底面からの排熱を補助できる。効果は機種やスタンドの性能によるが、5〜10度程度の温度低下が見込めるケースもある。
対策9:グリスの塗り直し
長期間使用しているパソコンでは、CPUとクーラーの間に塗られているグリス(サーマルペースト)が劣化して熱伝導効率が落ちていることがある。グリスを塗り直すことで冷却性能が回復し、ファンの回転数が下がることがある。

そもそもファンの音を抑えやすいPC構成とは
これからパソコンを購入する人や自作する人向けに、静音性を重視した構成のポイントをまとめておく。
静音PC構成のポイント
・CPUクーラー:大型空冷クーラー or 240mm以上の簡易水冷
・ケース:吸音材入りの静音ケース(防音パネル搭載モデル)
・ケースファン:140mmの低回転ファン(120mmより静か)
・GPU:セミファンレスモデル(低負荷時はファン停止)
・電源:80PLUS Gold以上の高効率電源(発熱が少ない)
なかでも効きやすいのがケースだ。吸音材入りの静音ケースに変えるだけで、同じ構成でも体感する音の大きさが変わってくる。
ファン制御ソフトの活用
BIOSの設定だけでなく、ファン制御ソフトを使うことで、より細かくファンの回転数をコントロールできる。
SpeedFan(Windows)
CPUやGPUの温度に応じてファンの回転数を自動調整するフリーソフトだ。手動で回転数の上限を設定することもでき、騒音を抑えたい時に便利だ。ただし、すべてのマザーボードで動作するわけではないため、対応状況を確認してから使おう。
MSI Afterburner
GPU(グラフィックボード)のファン制御に特化したツールで、ファンカーブ(温度に対する回転数の曲線)を自由にカスタマイズできる。動画編集中のGPU温度が気になる場合は、このツールでファンカーブを調整して静音性とパフォーマンスのバランスを取るのがおすすめだ。
Q&A:CPUファンの騒音に関するよくある質問
Q. ファンの音がうるさくても使い続けて大丈夫?
ファンが回ること自体は正常な動作なので、パソコンがすぐに壊れるわけではない。ただし、常時高温状態が続くとCPUやGPUの寿命に影響する可能性があるため、温度管理は意識しておきたい。HWMonitorやCore Tempなどのツールで温度を確認できる。
Q. ファンレスのパソコンで動画編集はできる?
ファンレスPCは低発熱・低消費電力の設計で、動画編集のような高負荷な作業には基本的に向いていない。軽い編集ならこなせるケースもあるが、本格的な編集にはファン付きのPCを推奨する。
Q. ノートPCのファン音はどうしようもない?
ノートPCはスペースの制約上、冷却性能を上げにくい。冷却スタンドの使用、電源設定の最適化、プロキシ編集の活用など、できる範囲での対策を組み合わせることで改善が見込める。

おすすめの温度モニタリングツール
ファンの騒音対策を行う上で、CPU・GPUの温度を常に把握しておくことが重要だ。以下の無料ツールを活用しよう。
HWMonitor
CPU、GPU、SSD、マザーボードなど主要パーツの温度・電圧・ファン回転数をリアルタイムで確認できるフリーソフトだ。動画編集中にどのパーツが何度まで上がっているかを把握することで、対策の優先順位を決めやすくなる。
Core Temp
CPU温度の監視に特化した軽量ツールだ。タスクバーにCPU温度を常時表示できるため、編集作業中に温度の変化をリアルタイムで確認できる。
GPU-Z
GPU(グラフィックボード)の温度やクロック周波数、VRAM使用量などを詳しく確認できるツールだ。DaVinci Resolveのようにグラフィックボードに高負荷がかかるソフトを使う場合に役立つ。
温度の目安
CPU・GPU温度の目安
・アイドル時(何もしていない時):30〜45度
・動画編集中:60〜80度
・レンダリング中:70〜90度
・95度以上:サーマルスロットリング(性能制限)が発生する危険域
常に85度を超える状態が続くようであれば、冷却対策の強化が必要だ。
まとめ
動画編集中にCPUファンがうるさくなるのは、高負荷による温度上昇が主な原因だ。まずはホコリの清掃と不要プロセスの終了といったお金のかからない対策から試し、効果が不十分なら CPUクーラーの交換やケースファンの増設といったハードウェア面の対策に進むのがおすすめだ。
プロキシ編集やGPUアクセラレーションの活用も、CPU負荷を下げてファンの回転を抑えるのに効果的だ。快適で静かな編集環境を作って、動画制作に集中できる状態を整えよう。
参考リンク:


