撮影した動画の前後に不要な部分が残っていたり、途中の特定の場面だけ切り出したかったりすることは、動画編集でもっともよくある作業の一つです。この「トリミング」や「カット」の技術を覚えておけば、動画のクオリティを手軽に高めることができます。
この記事では、動画のトリミング・切り取りの方法を、パソコン・スマホ・オンラインツール別にわかりやすく解説します。無料で使えるおすすめツールも厳選して紹介しますので、初めての方でも安心して読み進めてください。

トリミング・カット・クロップの違いを整理しよう
動画編集の場面では「トリミング」「カット」「クロップ」という言葉が混同されがちです。まずはそれぞれの意味を整理しておきましょう。
- トリミング:動画の開始点や終了点を調整して、前後の不要な部分を削る作業。時間軸での編集
- カット:動画の途中にある不要なシーンを切り取って削除する作業。ジャンプカットとも呼ばれる
- クロップ:動画の画面サイズ(フレーム)を切り抜いて、表示範囲を変更する作業。画面の一部だけを切り出す空間的な編集
この記事では、主に時間軸でのトリミングとカットの方法を中心に解説します。クロップ(画面の切り抜き)はまた別の手法になるので、混同しないようにしましょう。
用語の整理でつまずいたなら、編集の流れ全体を一度通しで押さえておくと理解が早くなります。図解の多い入門書なら、作業のイメージもつかみやすいはずです。
【パソコン編】動画をトリミング・カットするフリーソフト
パソコンで動画をトリミング・カットする場合、以下の無料ソフトがおすすめです。用途に合わせて選んでみてください。
Shotcut
Shotcutは、オープンソースの無料動画編集ソフトです。Windows・Mac・Linuxに対応しており、完全無料で利用できます。タイムライン上で再生ヘッドを移動させ、不要な部分を範囲選択して削除するだけでカットが完了します。直感的な操作で、初心者でもすぐに使いこなせます。
タイムライン上のクリップを選択して「S」キーを押すと、再生ヘッドの位置で分割できます。分割した不要な部分を選択して「Delete」キーで削除すれば、カット編集の完了です。
LosslessCut
LosslessCutは、名前の通り無劣化で動画をカット・トリミングできるソフトです。再エンコードを行わないため処理が非常に速く、画質を一切落とさずに不要部分を切り取れるのが特徴です。Windows・Mac・Linuxに対応しています。
操作方法もシンプルで、動画を読み込んだら開始位置と終了位置を設定し、「Export」ボタンをクリックするだけです。数十GBの大容量動画でも数秒で処理が完了するので、撮影素材の仮編集にも便利です。
Windows標準の「フォト」アプリ
Windows 10/11には「フォト」アプリが標準搭載されており、簡単なトリミングならこのアプリだけで完結します。動画ファイルを右クリックして「フォト」で開き、「ビデオのトリミング」を選択するだけで操作画面に入れます。スライダーを動かして開始位置と終了位置を決め、「名前を付けて保存」で完了です。追加のインストールが不要なので、最も手軽な方法と言えます。
FFmpeg
コマンドラインで操作するFFmpegなら、「ffmpeg -i input.mp4 -ss 00:01:00 -to 00:03:00 -c copy output.mp4」のように開始時刻と終了時刻を指定するだけで無劣化トリミングが可能です。「-ss」が開始時刻、「-to」が終了時刻を表し、「-c copy」で再エンコードなしのコピー方式を指定しています。
バッチファイルやスクリプトと組み合わせれば、大量の動画を一括で同じ時間帯にカットすることもできます。たとえば、全ての動画から最初の5秒を自動カットする、といった処理が可能です。
DaVinci Resolve(無料版)
DaVinci Resolveの無料版は、プロ向け動画編集ソフトの機能をほぼそのまま無料で利用できる強力なツールです。タイムライン上でのカット・トリミングはもちろん、リップル編集(カットした部分を詰める)やスリップ編集(クリップの中身をずらす)などの高度な編集操作にも対応しています。
ただしDaVinci Resolveは機能が多く、独学だと使わないまま眠らせてしまいがちです。編集ページの操作を体系立てて追える解説書があると、無料版でも一通り使いこなせるようになります。

【スマホ編】動画をトリミング・カットする方法
スマホでも手軽に動画のトリミングやカットができます。標準機能だけでできる方法からアプリを使う方法まで、端末別に紹介します。
iPhoneの標準機能
iPhoneの「写真」アプリには、トリミング機能が標準で搭載されています。動画を開いて「編集」をタップし、タイムラインの左右の黄色いバーを動かすだけで前後の不要な部分を切り取れます。追加のアプリなしで手軽にトリミングできるのが魅力です。
編集後に「ビデオを新規クリップとして保存」を選べば、元の動画を残したまま別ファイルとして保存されるので安心です。
Androidの標準機能
Googleフォトアプリを使えば、Android端末でもトリミングが可能です。動画を開いて「編集」をタップし、タイムラインのスライダーを調整するだけで完了します。Googleフォトはほとんどのandroid端末にプリインストールされているので、すぐに使えます。
CapCut
CapCutはより高度な編集にも対応しており、トリミングだけでなく、動画の途中部分をカットして削除することも簡単にできます。テロップやBGMの追加も同時に行えるので、SNS投稿用の動画編集に向いています。タイムライン上でクリップを長押しして「分割」をタップするだけでカットポイントを設定できます。
【オンライン編】ブラウザで動画をトリミングする方法
ソフトやアプリのインストールが不要なオンラインツールも便利です。ブラウザさえあればすぐに使えます。
Clipchamp
Microsoftが提供するClipchampは、ブラウザ上で動画のトリミングやカットができるオンラインツールです。Microsoftアカウントがあれば無料で利用でき、1080p画質での書き出しに対応しています。タイムライン編集にも対応しているので、複数箇所のカットもまとめて行えます。
123apps Online Video Cutter
Online Video Cutterは、動画のトリミングに特化したシンプルなオンラインツールです。アカウント登録不要で、ファイルをアップロードして開始と終了のポイントを指定するだけで切り取りが完了します。4GBまでのファイルに対応しており、出力形式もMP4・MOV・MKVなど複数から選べます。
オンラインツールを利用する際の注意点:
- 大容量ファイルはアップロードに時間がかかる
- 機密性の高い動画はローカルソフトで処理する方が安全
- 無料プランではファイルサイズや回数に制限がある場合がある
トリミング・カットを上手に行うコツ
ただ切るだけでなく、プロっぽく仕上げるためのコツを紹介します。
余白を残してカットする
話し始めや動きの開始ギリギリでカットすると、視聴者にとって唐突な印象になります。前後に0.5〜1秒ほどの余白を残すと、自然なつなぎになります。特にYouTube動画では、テンポの良さと聞きやすさのバランスが大切です。
フレーム単位で微調整する
ソフトによっては、フレーム単位(1/30秒単位)でトリミング位置を微調整できます。特に音楽に合わせた編集や、セリフの切れ目でカットしたい場合には、フレーム単位の操作が重要です。ShotcutやDaVinci Resolveでは、キーボードの矢印キーでフレーム単位の移動が可能です。
このコマ送りとカットを何百回も繰り返すのがカット編集の実情です。ダイヤルやボタンに操作を割り当てられる左手デバイスを使うと、片手だけで送りながら切れるようになります。
無劣化カットを活用する
何度もカット・再書き出しを繰り返すと、その都度画質が劣化します。LosslessCutやFFmpegの「-c copy」オプションを使った無劣化カットを活用することで、画質を保ったまま編集を進められます。
ジャンプカットを効果的に使う
YouTubeの解説動画やVlogでは、セリフとセリフの間の不要な「間」を切り詰めるジャンプカットが広く使われています。テンポの良い動画に仕上がりますが、使いすぎると落ち着かない印象になるので、適度な間を残すことも意識しましょう。

トリミング時のよくあるトラブルと対処法
カット位置がズレる
キーフレームの位置でしかカットできないツールを使っている場合に起こります。フレーム単位での操作に対応したソフト(Shotcut、LosslessCutなど)を使うか、再エンコードモードでカットすると正確な位置でトリミングできます。
トリミング後に音声だけ残る
映像トラックと音声トラックの長さが一致していない場合に起こることがあります。編集ソフトのタイムライン上で、映像と音声の両方のトラックが同じ範囲で切り取られているか確認してください。
書き出しに時間がかかる
再エンコード方式でカットすると処理時間が長くなります。画質劣化を許容できないシンプルなトリミングであれば、無劣化カットに対応したツールを使うことで大幅に時間を短縮できます。
再エンコードが避けられない場合は、読み書きの速いドライブを作業用に使うだけでも待ち時間が縮みます。素材と書き出し先を分けられるポータブルタイプなら、持ち運びながらの作業にも向きます。
トリミング後にファイルが再生できない
無劣化カットの場合、キーフレームの位置によってはファイルの先頭部分が正しくデコードできないことがあります。その場合は、開始位置を少しずらしてみるか、再エンコード方式でカットし直してください。
Q&Aコーナー
Q. トリミングした動画を元に戻せますか?
多くの編集ソフトでは「名前を付けて保存」で別ファイルとして書き出すため、元の動画ファイルは残ります。ただし、iPhoneの「写真」アプリのように元ファイルを上書きする場合もあるので、大事な動画は事前にバックアップを取っておきましょう。iPhoneでも「新規クリップとして保存」を選べば元動画はそのまま残ります。
Q. 複数箇所を一度にカットできるソフトはありますか?
ShotcutやDaVinci Resolveなどのタイムライン編集に対応したソフトなら、複数箇所のカットをまとめて行い、一度の書き出しで完了できます。LosslessCutでも複数セグメントの選択に対応しており、不要部分を飛ばした結合出力が可能です。
Q. 動画のトリミングで画質は劣化しますか?
LosslessCutやFFmpegの「-c copy」オプションを使った無劣化カットなら画質は劣化しません。編集ソフトで再エンコードする場合は多少の劣化が生じますが、ビットレートを適切に設定すれば目視でわかるほどの差にはなりません。
まとめ
動画のトリミング・切り取りは、動画編集のもっとも基本的な作業です。Windows標準のフォトアプリやiPhoneの写真アプリで手軽に行う方法から、LosslessCutやFFmpegで無劣化カットする方法まで、さまざまな選択肢があります。
目的に合ったツールを選び、カット位置や余白に気を配ることで、よりクオリティの高い動画に仕上げることができます。まずは身近なツールから試してみて、慣れてきたらLosslessCutやDaVinci Resolveなどの高機能ツールにステップアップしていくのがおすすめです。



