動画にナレーションを入れると、映像だけでは伝わりにくい情報を補足したり、視聴者の理解を深めたりすることができます。YouTube動画、企業のプロモーション映像、教育コンテンツなど、ナレーション付きの動画は活用の幅が広いのが特徴です。
この記事では、動画にナレーションを入れる具体的な方法を、自分で録音する方法からAI音声を活用する方法まで幅広く解説します。録音時のコツやおすすめツールも紹介するので、初めての方でも安心です。

ナレーションを入れる方法は3パターン
動画にナレーションを入れる方法は、大きく分けて3つあります。
- 自分の声を録音する:マイクを使って直接ナレーションを録音する方法。もっとも自然な仕上がりになる
- AI音声合成を利用する:テキストを入力してAIに読み上げてもらう方法。顔出し・声出しなしで動画制作したい方に人気
- ナレーターに依頼する:クラウドソーシングなどでプロのナレーターに録音を依頼する方法。品質を求める場合に最適
自分の声でナレーションを録音する方法
必要な機材
ナレーション録音に必要な機材は、最低限マイクとパソコン(またはスマホ)があれば始められます。
USB接続のコンデンサーマイクを使うと、手軽に高品質な録音が可能です。入門用なら5,000円前後のマイクでも十分な音質が得られます。
録音環境を整える
録音環境は音質に大きく影響します。以下のポイントを押さえておきましょう。
- エアコンや換気扇などのノイズ源をオフにする
- 反響を抑えるために、部屋にカーテンやクッションを配置する
- マイクと口の距離は15〜20cm程度を保つ
- ポップガード(息がマイクに直接当たるのを防ぐフィルター)を使う
反響が気になる部屋なら、マイクの背後や壁の一部に吸音材を貼るだけでも録り音が締まります。数千円の範囲で試せるので、カーテンやクッションで改善しきれない場合の次の一手として検討してみてください。
録音ソフト
Audacityは無料の音声録音・編集ソフトで、ナレーション録音に広く使われています。録音後にノイズ除去や音量調整もできるため、後処理まで一つのソフトで完結します。

AI音声でナレーションを作る方法
声を出さずにナレーション付き動画を作りたい方には、AI音声合成(TTS:Text to Speech)がおすすめです。テキストを入力するだけで自然な音声を生成してくれるツールが増えています。
VOICEVOX
VOICEVOXは、商用利用も可能な無料のAI音声合成ソフトです。日本語の音声合成に特化しており、自然なイントネーションで読み上げてくれます。キャラクターボイスが複数用意されているのも魅力です。
音読さん
音読さんは、ブラウザ上でテキストを入力するだけでAI音声を生成できるサービスです。商用利用にも対応しており、生成した音声をダウンロードして動画に合成できます。
VOICEPEAK
VOICEPEAKは有料のAI音声合成ソフトですが、非常に自然な読み上げが特徴です。感情表現のパラメータを調整できるため、喜び・悲しみ・怒りなどのニュアンスを込めたナレーションを作ることができます。
録音したナレーションを動画に合成する方法
Shotcutを使う方法
Shotcutでは、動画をタイムラインに配置した後、音声ファイルを別のトラックにドラッグ&ドロップするだけで合成できます。音声のタイミングをスライドして微調整することも可能です。
DaVinci Resolveを使う方法
DaVinci Resolveの無料版でも、タイムライン上に音声トラックを追加してナレーションを合成できます。Fairlightページを使えば、音声の細かい編集やノイズ除去も可能です。
スマホアプリで合成する方法
CapCutやInShotなどのスマホアプリでは、動画編集画面から直接ナレーションを録音したり、音声ファイルを読み込んだりできます。撮影から編集、ナレーション合成までスマホだけで完結できるのが魅力です。

ナレーション録音を上手に行うコツ
台本を事前に準備する
台本なしでアドリブで話すと、「えー」「あのー」などの不要なフィラーが増え、編集の手間が大幅に増えます。事前に台本を用意し、何度か声に出して練習しておくとスムーズに収録できます。
ゆっくり、はっきり話す
早口になると聞き取りにくくなります。普段の会話よりもゆっくりめのペースで、一語一語はっきりと発音することを意識しましょう。目安として、1分間に300〜350文字程度のペースが聞きやすいとされています。
一文ずつ区切って録音する
長い文章を一気に読もうとすると、噛んだりイントネーションが崩れたりしやすくなります。一文または一段落ごとに区切って録音し、後から編集でつなげるとクオリティが安定します。
Q&Aコーナー
Q. スマホのマイクでもナレーション録音はできますか?
可能です。ただし、スマホの内蔵マイクは環境音を拾いやすいため、静かな部屋で録音することが前提になります。音質にこだわるなら、スマホに接続できるピンマイクやUSBマイクの使用がおすすめです。
Q. ナレーションの著作権はどうなりますか?
自分で録音したナレーションの著作権は自分にあります。AI音声合成ツールの場合は、ツールの利用規約を確認してください。VOICEVOXなど商用利用可能なツールであれば、YouTube動画への使用も問題ありません。
Q. BGMとナレーションを同時に入れるときのコツは?
BGMの音量をナレーションより10〜15dB低く設定するのが基本です。ダッキング機能を使えば、ナレーションがあるときだけ自動でBGMの音量を下げることもできます。
ナレーション付き動画のジャンル別活用例
ナレーションは動画のジャンルによって求められるトーンやスタイルが異なります。ここではジャンル別の活用例を紹介します。
YouTube解説動画
解説動画では、落ち着いたトーンで聞き取りやすいナレーションが求められます。話す速度は1分間に300〜350文字程度が目安で、専門用語が多い場合はさらにゆっくりめに話すと視聴者の理解が追いつきやすくなります。
商品紹介動画
商品の魅力を伝えるナレーションでは、明るく親しみやすいトーンが効果的です。商品のスペックや価格を淡々と読み上げるのではなく、ユーザー目線でのメリットを語りかけるように話すと、視聴者の購買意欲を高めやすくなります。
教育・eラーニング動画
教育用動画では、正確さと聞きやすさの両立が重要です。難しい概念を説明する場面では、一文を短めにして間を十分に取りましょう。AI音声合成を使う場合は、読み上げ速度を通常より10〜20%ほど遅く設定するのがおすすめです。
SNS向けショート動画
TikTokやInstagramリールなどのショート動画では、テンポの速いナレーションが好まれる傾向にあります。最初の2〜3秒で視聴者の注意を引くインパクトのある一言を入れるのがコツです。
ナレーション収録後の後処理テクニック
録音したナレーションの品質をさらに高めるための後処理テクニックを紹介します。
ノイズ除去
録音時に拾ってしまった環境ノイズ(エアコンの音、外の車の音など)は、Audacityの「ノイズの低減」機能で除去できます。無音部分を選択して「ノイズプロファイルの取得」を行い、その後全体に「ノイズの低減」を適用する手順です。
ノイズ除去は、かけすぎると声まで痩せてしまう処理です。かけ具合を判断するにはPCのスピーカーではなく、細かい音まで拾えるモニターヘッドホンで確認するのが確実です。
コンプレッサーで音量を均一化
話し方のクセで音量にバラつきが出ることがあります。コンプレッサーを適用すると、大きい音を抑えて小さい音を持ち上げ、全体的に聞きやすい音量に均一化できます。Audacityなら「エフェクト」→「コンプレッサー」から適用可能です。
イコライザーで声を聞きやすく
低音域をカットして中高音域を少し持ち上げると、ナレーションの声がクリアに聞こえるようになります。一般的には200Hz以下をカットし、2kHz〜4kHz付近を軽くブーストするのがセオリーです。
ナレーション制作で使える便利なテクニック
ここでは、ナレーション制作の効率と品質をさらに高めるためのテクニックを紹介します。
マーカー機能で台本と動画を同期させる
DaVinci ResolveやPremiere Proなどのプロ向け編集ソフトには、タイムライン上にマーカー(目印)を打つ機能があります。台本の各段落に対応するマーカーを事前に打っておくと、ナレーション音声を正確なタイミングで配置しやすくなります。特に長尺の動画では、この方法で大幅に作業効率が上がります。
リップシンク(口パク同期)のコツ
顔出し動画の場合、口の動きとナレーション音声がズレていると違和感が生じます。録音と映像を同期させるには、冒頭に手を叩く音(クラップ)を入れて同期ポイントにする方法が定番です。この同期ポイントを基準に音声の位置を微調整すると、自然なリップシンクが実現できます。
複数テイクのベスト部分をつなぐ
プロのナレーターでも一発で完璧に録音するのは難しいものです。同じ台本を複数回録音し、各テイクからベストな部分を選んでつなぎ合わせる「コンプ録り」という手法が一般的です。Audacityでは複数のトラックに各テイクを並べて聞き比べながら、ベスト部分だけを新しいトラックにコピーしていく作業が効率的に行えます。
ブレス(呼吸音)の処理
録音したナレーションには呼吸音(ブレス)が入ることがあります。完全に除去すると不自然に聞こえるため、音量を-15dB程度まで下げるのがおすすめです。Audacityなら、ブレスの部分を選択して「増幅」エフェクトで音量を下げる方法が簡単です。
そもそも息の当たる音を録らずに済ませたいなら、マイクの前にポップガードを1枚立てるのが手っ取り早い対策です。破裂音(パ行・バ行)の耳障りな響きも同時に抑えられます。
まとめ
動画にナレーションを入れる方法は、自分で録音する方法、AI音声を使う方法、プロに依頼する方法の3パターンがあります。自分の声で録音する場合は、マイク選びと録音環境の整備がクオリティを左右します。
AI音声合成ツールは記事執筆時点で急速に進化しており、VOICEVOXや音読さんなど無料で使えるツールも充実しています。声出しが苦手な方でも、高品質なナレーション付き動画を制作できる時代になっています。
ぜひこの記事を参考に、自分に合った方法でナレーション付き動画制作に挑戦してみてください。



