企業が動画を制作しようとすると、まず気になるのが「いくらかかるのか」という費用面です。動画制作の費用は、動画の種類・長さ・演出の有無・依頼先によって大きく変動するため、一概に「○○万円です」とは言えません。
この記事では、企業動画の制作費用の相場を種類別に整理し、費用を抑えるための具体的な方法を紹介します。見積もりを取る前に、おおよその相場感をつかんでおきましょう。

企業動画の制作費用を決める要素
動画制作の費用は、主に以下の要素によって変動します。
動画の種類・目的
企業PR動画、商品紹介動画、採用動画、研修動画、SNS広告動画など、動画の目的によって制作の手間と費用が異なります。一般的に、ブランディングを目的とした企業PR動画は費用が高く、社内研修用のシンプルな解説動画は比較的安く制作できます。
動画の長さ
動画が長くなるほど、撮影時間・編集時間・ナレーション量が増えるため、費用も比例して上がります。企業PR動画であれば1〜3分、商品紹介動画であれば30秒〜1分程度が主流です。
撮影の有無と規模
実写撮影を伴う場合は、カメラマン、ディレクター、照明スタッフ、スタジオ・ロケ地の手配など、多くのコストが発生します。一方、既存の写真素材やストックフォトを使ったスライドショー形式や、アニメーション動画であれば、撮影費がかからないため大幅にコストダウンできます。
出演者(キャスティング)
社員が出演する場合はキャスティング費用はかかりませんが、プロのナレーター、モデル、タレントを起用する場合は出演料が発生します。
特殊な演出
ドローン撮影、3DCG、モーショングラフィックス、合成(VFX)などの特殊演出は、専門のクリエイターや機材が必要になるため、費用が跳ね上がります。
- 費用は「動画の種類×長さ×撮影規模×演出」で決まる
- 撮影なしのアニメーション動画はコストを抑えやすい
- 特殊演出(ドローン・3DCG・VFX)は追加費用が大きい
どこに予算を厚くするかは、その動画で何を達成したいかによって変わります。社内で判断軸を持ちたい担当者の方は、動画マーケティングの解説書に一度目を通しておくと見積もりの読み方も変わってきます。
動画の種類別:制作費用の目安
以下はあくまで一般的な目安です。制作会社やプロジェクトの内容によって大きく変動するため、具体的な費用は複数社に見積もりを取って確認することをおすすめします。
企業PR・会社紹介動画
50万〜200万円程度が一般的な相場です。企画構成、インタビュー撮影、ナレーション収録、BGM・テロップ入りの編集までを含む価格帯です。ハイクオリティなブランディング動画の場合は300万円以上になることもあります。
商品・サービス紹介動画
30万〜150万円程度です。商品の撮影が必要な場合はスタジオ代や照明費が加わります。テンプレートベースのシンプルな構成であれば10万〜30万円で制作できるケースもあります。
採用・リクルート動画
50万〜150万円程度です。オフィスの撮影、社員インタビュー、企業文化の紹介などが含まれる構成が一般的です。社員に出演してもらう場合はキャスティング費がかからず、コストを抑えやすいジャンルです。
研修・マニュアル動画
10万〜50万円程度です。パワーポイントのスライドに音声ナレーションをつけるだけであれば、10万円以下で制作できることもあります。ただし、実演シーンの撮影が必要な場合は費用が上がります。
SNS広告動画(短尺)
5万〜30万円程度です。15秒〜30秒程度の短い動画で、テンプレートベースで制作すればコストを大幅に抑えられます。ABテスト用に複数パターンを制作する場合は、まとめて依頼すると1本あたりの単価が下がることがあります。
アニメーション動画
30万〜200万円程度です。ホワイトボードアニメーションやフラットデザインのアニメーションなどシンプルな表現であれば30万円前後から、キャラクターが動く本格的なアニメーションであれば100万円以上が目安です。

依頼先別の費用感
同じ内容の動画でも、依頼先によって費用が異なります。
大手映像制作会社・広告代理店
100万〜1,000万円以上。テレビCMレベルの品質を求める場合や、大規模なプロモーション動画の場合はこの価格帯になります。ディレクション力やブランディングのノウハウが強みですが、個人事業主や中小企業にとってはオーバースペックなケースも多いです。
中小の動画制作会社
20万〜200万円程度。企業の動画需要に合わせた柔軟な対応ができる会社が多く、コストパフォーマンスと品質のバランスが取りやすい依頼先です。ヒアリングから納品まで担当者が一貫して対応してくれるケースが多く、コミュニケーションが取りやすいのもメリットです。
フリーランスの映像クリエイター
5万〜50万円程度。中間マージンが発生しないため、制作会社に比べて費用を抑えやすいです。ただし、品質のばらつきがあるため、ポートフォリオの確認と、過去のクライアントのレビューを確認することが大切です。
動画制作の費用を抑えるコツ
台本・構成案を自社で用意する
企画・構成費は制作費用の10〜20%を占めることがあります。社内で動画の目的・構成・テロップ原稿まで作り込んでおけば、制作会社には撮影・編集のみを依頼でき、コストダウンにつながります。
とはいえ、社内に台本づくりの経験者がいないケースも多いはずです。動画の構成や台本の型をまとめた書籍が1冊あれば、書き出しの段階でつまずきにくくなります。
撮影を最小限にする
撮影にはカメラマン、照明、音声スタッフなど人件費が大きくかかります。既存の写真素材やストック映像を活用し、撮影を減らすことで大幅にコストを抑えられます。
尺を短くする
動画は長ければ良いというものではありません。SNS広告であれば15〜30秒、企業PR動画でも1〜2分が推奨されています。尺が短いほど制作コストも抑えられ、視聴者の離脱も防げます。
複数本をまとめて発注する
1本ずつ依頼するよりも、複数本をまとめて依頼したほうが1本あたりの単価は下がります。特にSNS広告用の動画は、素材を使い回して複数パターンを制作するのが効率的です。
フリーランスやクラウドソーシングを活用する
ランサーズ、クラウドワークス、ココナラなどのプラットフォームを通じて、フリーランスのクリエイターに依頼する方法もあります。制作会社を通さない分、費用を抑えやすいのがメリットです。
動画制作ツールで内製する
Canva、FlexClip、InVideoなどのオンライン動画制作ツールを使えば、テンプレートを選んでテキストや素材を差し替えるだけでSNS投稿用の動画が作れます。社内の担当者が操作できるレベルのツールも増えているため、簡易的な動画であれば外注せずに内製化することで費用を大幅に削減できます。
内製で撮影まで行うなら、三脚と照明が揃った撮影機材セットから始めるのが手堅い進め方です。まず数本を自社で作ってみて、足りない部分だけ外注に回すという分担もできます。
動画制作でよくある費用のトラブルと対策
「安い」と思ったら追加費用が膨らんだ
初期見積もりでは安く見えても、修正回数の追加、撮影日の延長、素材の追加購入などで最終的な費用が当初の見積もりの1.5倍〜2倍になるケースがあります。これを防ぐためには、見積もり段階で「どこまでが含まれる費用で、何が追加費用になるのか」を書面で明確にしてもらうことが重要です。
完成イメージが合わず何度も修正
制作開始前のイメージ共有が不十分だと、完成した動画が期待と違い、修正回数が増えてしまいます。参考にしたい動画のURLを3〜5本共有し、「このテンポ感」「このカラー感」など具体的に伝えることで、イメージのずれを最小限に抑えられます。
納品後に利用制限があった
BGMや素材のライセンスによっては、SNS広告での利用やテレビCMへの転用に制限がかかる場合があります。動画の利用範囲(WebサイトのみかSNS広告にも使うか)を事前に制作会社に伝え、適切なライセンスの素材を使ってもらいましょう。
費用を抑えることだけに注力すると、動画のクオリティが下がり、結果的に「安かろう悪かろう」になるリスクがあります。ビジネスの成果(認知拡大・問い合わせ増加・採用応募増)につながるクオリティを維持しながら、無駄なコストを削減するバランスが大切です。

見積もりを取るときのチェックリスト
制作会社に見積もりを依頼する際、以下の情報を整理しておくとスムーズです。
- 動画の目的(認知拡大、採用、社内研修など)
- 動画の長さ(30秒、1分、3分など)
- 活用する場所(YouTube、SNS広告、自社サイト、展示会など)
- 撮影の有無(実写撮影が必要か、素材流用でOKか)
- 出演者の手配(社員出演か、プロのキャスティングか)
- ナレーションの有無
- BGM・効果音の手配
- 修正回数の上限
- 納品希望日
- 予算の上限
このうちナレーションについては、社員の声で足りる内容なら自社収録に切り替えるだけで費用が変わります。PCに挿すだけで使えるUSBマイクがあれば、原稿の差し替えにも自分たちで対応できます。
よくある質問
Q. 見積もりの「企画費」とは何に使われるお金?
A. 企画費は、動画の方向性を決めるためのヒアリング、リサーチ、構成案の作成、台本の執筆などに充てられる費用です。一般的に制作費全体の10〜20%程度を占めます。企画費が含まれていない格安見積もりの場合、「とりあえず撮影して編集するだけ」という制作になりがちで、動画の効果が出にくくなるリスクがあります。
Q. 追加費用が発生するのはどんなとき?
A. 主に以下のケースで追加費用が発生します。契約時に定めた修正回数を超えた場合、撮影日の変更やリスケが発生した場合、当初の企画にはなかった新たな演出やカットの追加が必要になった場合、ナレーターやキャストの追加が必要になった場合などです。事前に「どこまでが見積もりに含まれるか」を明確にしておくことが大切です。
Q. 動画制作の費用は経費にできる?
A. 法人が事業目的で制作した動画の費用は、広告宣伝費として経費計上できるのが一般的です。ただし、税務上の取り扱いについては税理士に確認することをおすすめします。
まとめ
企業動画の制作費用は、動画の種類・長さ・撮影規模・依頼先によって大きく異なります。SNS広告用の短尺動画なら5万円から、企業PR動画なら50万〜200万円程度が一般的な相場です。
費用を抑えるには、台本の自社作成、撮影の最小化、フリーランスの活用などの方法があります。ただし、品質とコストのバランスを取ることが何より重要です。まずは複数社に見積もりを取り、相場感をつかんだ上で制作を進めましょう。



