動画編集を始めるにあたって、「ストレージはどれくらいの容量を用意すればいいの?」と悩む人は少なくない。動画ファイルは他のデータと比べて非常にサイズが大きく、編集中にはキャッシュやプロジェクトファイルも生成されるため、予想以上にストレージを消費する。
この記事では、動画の解像度や用途ごとに必要なストレージ容量の目安を具体的に解説していく。パソコンの購入やストレージの増設を検討している人は、ぜひ参考にしてほしい。

動画ファイルのデータ量はどれくらい?
まず、動画ファイルがどれくらいの容量になるか確認しておこう。
1分間の動画データ量の目安(H.264コーデック・30fps)
・フルHD(1920×1080):約130MB
・4K(3840×2160):約375MB
・8K(7680×4320):約1.5GB
つまり、フルHDの10分動画で約1.3GB、4Kの10分動画で約3.75GBのストレージを消費する。撮影素材が増えれば増えるほど、あっという間にストレージが埋まっていくことになる。
さらに、これは撮影素材のデータ量だけの話だ。編集中には以下のようなデータも発生する。
編集中に生成されるデータ
・プロジェクトファイル:編集ソフトの設定やタイムライン情報を保存するファイル。容量は小さいが数が増える。
・キャッシュファイル:プレビューやエフェクトの一時データ。数GBから数十GBに達することもある。
・プロキシファイル:高解像度素材を軽量化したプレビュー用ファイル。元素材の30〜50%程度の容量。
・書き出しファイル:完成動画。元素材と同程度かそれ以上の容量になることもある。
・オートセーブファイル:クラッシュに備えた自動保存データ。
これらを合計すると、実際に必要なストレージ容量は元素材の1.5〜2倍程度になることが多い。
用途別の推奨ストレージ容量
用途ごとに、どれくらいの容量を確保すべきか目安を見ていこう。
YouTube動画の編集(フルHD中心)
・推奨容量:500GB〜1TB
・週に1〜2本の動画(10〜20分程度)を制作する場合
・完成したら素材を外付けストレージに移す運用
フルHD中心であれば、500GBのSSDでも運用は可能だ。ただし、素材を溜め込むとあっという間にいっぱいになるため、定期的に完成データを外付けストレージやクラウドに移動する習慣が大切だ。
移動先としてまず用意しておきたいのが、読み書きの速いポータブルタイプの外付けSSDだ。HDDより高価だが、素材を直接読み込みながら編集する使い方にも耐えられる。
YouTube動画の編集(4K中心)
・推奨容量:1TB〜2TB
・4K素材はフルHDの約3倍のデータ量
・キャッシュやプロキシも含めると余裕が必要
4K編集では、1TB未満のストレージだとすぐに容量が逼迫する。メインドライブに1TB、作業ドライブにさらに1TBの構成が理想的だ。
SNS用ショート動画の編集
・推奨容量:256GB〜512GB
・1本あたりの素材が短い(15〜60秒程度)
・スマホで編集する場合は128GB以上のスマホが望ましい
TikTokやInstagramリール向けの短い動画であれば、それほど大容量は必要ない。ただし、大量に制作する場合は素材が溜まりやすいため、定期的な整理が欠かせない。
スマホで撮影する場合は、本体容量よりも先にmicroSDカードの容量を増やしたほうが手軽なことが多い。4K撮影に使うなら、転送速度の規格(V30以上)まで確認して選びたい。
映像制作のプロ・業務用途
・推奨容量:2TB〜4TB以上
・複数プロジェクトを並行して進める場合
・RAW素材やProRes素材を扱う場合はさらに大容量が必要
業務で映像制作をする場合、RAWデータやProResコーデックの素材を扱うことがある。これらは非圧縮または軽圧縮のため、ファイルサイズが非常に大きい。数TBのストレージに加えて、NASやRAID構成のストレージを導入するケースも多い。

ストレージ構成のおすすめパターン
動画編集用パソコンのストレージ構成として、3つのパターンを紹介する。
パターン1:コスパ重視(初心者向け)
・Cドライブ:SATA SSD 500GB(OS + 編集ソフト)
・外付けHDD 2TB(素材保存 + バックアップ)
最低限の構成だが、フルHD編集なら問題なく運用できる。
パターン2:バランス重視(中級者向け)
・Cドライブ:NVMe SSD 1TB(OS + 編集ソフト + 作業用)
・外付けSSD or HDD 2TB〜4TB(素材保管 + バックアップ)
多くの動画編集者にとってちょうどいいバランスの構成だ。4K編集にも十分対応できる。
パターン3:パフォーマンス重視(上級者・プロ向け)
・Cドライブ:NVMe SSD 1TB(OS + 編集ソフト)
・Dドライブ:NVMe SSD 2TB(作業用・素材 + キャッシュ)
・Eドライブ:HDD 4TB〜8TB or NAS(アーカイブ + バックアップ)
システムドライブと作業ドライブを分離することで、I/O負荷が分散されパフォーマンスが最大化される。
アーカイブ先としてNASを選ぶと、複数のPCから同じ素材にアクセスできるうえ、ドライブを2本以上入れてミラーリングしておけば片方が壊れてもデータが残る。長く撮り溜めるなら検討したい選択肢だ。
ストレージの容量管理のコツ
ストレージを無駄なく使うための管理方法を紹介する。
完成プロジェクトは外付けストレージに移動する
編集が完了したプロジェクトは、メインのSSDから外付けHDDやクラウドストレージに移動しよう。メインドライブの空き容量を確保することで、パフォーマンスの低下を防げる。
キャッシュファイルを定期的に削除する
Premiere ProやDaVinci Resolveは、編集中にキャッシュファイルを大量に生成する。プロジェクト完了後は、ソフト内の設定からキャッシュをクリアしておくとストレージの節約になる。
クラウドストレージの活用
Google Drive、Dropbox、OneDriveなどのクラウドストレージをバックアップ先として活用するのも一つの方法だ。ただし、動画ファイルは容量が大きいため、無料プランでは足りないケースが多い。

動画ファイル形式ごとの容量比較
動画のコーデックやファイル形式によってもデータ量は大きく変わる。主要な形式を比較しておこう。
10分間の4K動画のおおよそのファイルサイズ
・H.264(MP4):約3.5〜5GB
・H.265(HEVC):約2〜3GB(H.264の約半分)
・ProRes 422:約20〜30GB
・ProRes 422 HQ:約30〜40GB
・RAW(非圧縮):約60〜120GB
編集の効率を重視するならProRes、最終出力のファイルサイズを抑えたいならH.265を選ぶのが一般的だ。ProResは編集時の負荷が軽い一方、ファイルサイズが大きいため、より多くのストレージ容量が必要になる。
Q&A:動画編集のストレージ容量に関するよくある質問
Q. 256GBのSSDで動画編集は厳しい?
不可能ではないが、かなり窮屈だ。OSと編集ソフトをインストールするだけで100GB以上消費するため、残りの空き容量が少なくなる。外付けストレージを併用すれば運用は可能だが、快適さを求めるなら500GB以上を推奨する。
Q. ストレージは後から増設できる?
デスクトップPCであれば、内蔵SSDやHDDの増設は比較的簡単だ。ノートPCの場合は機種によって異なるが、M.2スロットが空いていれば増設可能なモデルもある。購入前にスロット数を確認しておくことが大切だ。
空きスロットがある場合、内蔵のM.2 SSDを足すのが体感速度の面ではいちばん効きやすい。作業ドライブを分けたい人は、規格(PCIe Gen3/Gen4)と対応サイズを確認したうえで選ぼう。
Q. 動画素材はクラウドだけで管理できる?
クラウドだけでの管理も可能だが、アップロードとダウンロードに時間がかかる点、月額費用がかかる点がデメリットだ。ローカルストレージとクラウドの併用が現実的だ。
ストレージ不足を防ぐための習慣
ストレージ容量を賢く管理するための日常的な習慣を身につけておこう。
プロジェクト完了時のルーティン化
動画の編集が終わって書き出しが完了したら、以下の手順をルーティンにしておくとストレージの無駄遣いを防げる。
プロジェクト完了時のルーティン
1. 完成動画を外付けストレージにコピーする
2. プロジェクトファイルと元素材をまとめてアーカイブする
3. キャッシュファイルを削除する
4. メインSSDの空き容量が20%以上あることを確認する
ファイル命名ルールを統一する
プロジェクト名・日付・バージョン番号などを含むファイル命名ルールを作っておくと、後からファイルを探す手間が省ける。例えば「20260901_商品紹介_v2.mp4」のような形式にしておくと、どのプロジェクトのどのバージョンかがひと目でわかる。
クラウドストレージの活用方法
Google One(2TB:月額1,300円程度)やDropbox Plus(2TB)などの有料プランを活用すれば、大量の動画データをクラウドにバックアップできる。ただし、クラウドへのアップロードには時間がかかるため、編集中の作業ファイルをリアルタイムで同期するのではなく、完成データの保管場所として使うのが現実的だ。
クラウドストレージの料金は変動する可能性がある。利用前に各サービスの公式サイトで最新の料金を確認してほしい。
不要な素材の定期的な棚卸し
月に1回程度、使わなくなった素材やプロジェクトをチェックして、外付けストレージに移動するか削除しよう。溜め込むとストレージの容量不足に陥るだけでなく、必要なファイルを見つけるのも大変になる。
棚卸しした素材の置き場所としては、容量あたりの単価が安い外付けHDDが向いている。頻繁に読み書きしないアーカイブ用途なら、速度よりも容量を優先して選んで問題ない。
まとめ
動画編集に必要なストレージ容量は、扱う動画の解像度と制作量によって大きく変わる。フルHD中心なら500GB〜1TB、4K中心なら1TB〜2TB、プロ用途なら2TB以上が目安だ。
元素材だけでなく、キャッシュ・プロキシ・書き出しファイルも考慮して、必要容量の1.5〜2倍を確保しておくと安心だ。SSDとHDDを組み合わせた効率的なストレージ構成を組んで、快適な編集環境を整えてほしい。
参考リンク:


