動画の再生速度を変えるだけで、映像の印象はガラリと変わる。感動的なシーンをスローモーションでドラマチックに見せたり、移動シーンを早送りでテンポよく飛ばしたり、速度変更は動画編集において使用頻度の高いテクニックだ。
この記事では、スローモーション、早送り(倍速再生)、スピードランプの3つの速度変更テクニックについて、主要な動画編集ソフトでの具体的なやり方を紹介していく。

速度変更の基本:倍速と百分率
動画の速度変更は、一般的に「倍速」か「百分率(パーセント)」で指定する。
- 100%(1倍速):通常の再生速度
- 200%(2倍速):2倍の速さで再生(動画の長さは半分になる)
- 50%(0.5倍速):半分の速さで再生(スローモーション、動画の長さは2倍になる)
- 400%(4倍速):4倍の速さで再生(タイムラプス風の演出に使える)
- 25%(0.25倍速):4分の1の速さで再生(かなりゆっくりなスローモーション)
スローモーションをきれいに見せるには、撮影時のフレームレートが重要になる。通常の24fpsや30fpsで撮影した映像を50%以下に減速すると、カクカクした動きになってしまう。きれいなスローモーションを作りたいなら、撮影時に60fps以上で収録しておこう。
手持ちの機材が60fpsに対応していない場合は、高フレームレート撮影に対応したアクションカメラを使う手もある。小型で振り回しやすく、スローにする前提のカットを撮り足すのに向いている。
Premiere Proでの速度変更のやり方
クリップ全体の速度を変更する
- タイムライン上のクリップを右クリックして「速度・デュレーション」を選択する
- 速度の数値を変更する(200%で2倍速、50%でスロー)
- 「逆再生」にチェックを入れると、映像が逆再生される
- 「オーディオのピッチを維持」にチェックを入れると、速度を変えても音声のピッチが変わらない
- 「OK」をクリックして適用する
レート調整ツールを使う方法
ツールバーから「レート調整ツール」(R)を選択し、クリップの端をドラッグすることでも速度を変更できる。直感的に操作でき、クリップの長さを見ながら速度を調整したい場合に便利だ。
スピードランプ(タイムリマップ)の設定
スピードランプとは、1つのクリップ内で速度を徐々に変化させるテクニックだ。通常速度からスローモーションに滑らかに移行したり、逆にスローから一気に加速するなど、ダイナミックな演出ができる。
- クリップを右クリック→「クリップキーフレームを表示」→「タイムリマップ」→「速度」を選択する
- クリップ上に速度を示すラバーバンド(横線)が表示される
- 速度を変えたいポイントでCtrl(Cmd)キーを押しながらクリックしてキーフレームを追加する
- キーフレームとキーフレームの間のラバーバンドを上下にドラッグして速度を変更する(上に動かすと速く、下に動かすと遅くなる)
- キーフレームのハンドルをドラッグすることで、速度変化のカーブ(イーズイン・イーズアウト)を調整できる
タイムリマップまわりは手順が多く、記憶だけで進めると迷いやすい。作例つきの解説書を横に置いておくと、キーフレームの扱いを確認しながら進められる。

DaVinci Resolveでの速度変更のやり方
クリップ全体の速度を変更する
- エディットページでクリップを右クリックし、「クリップの速度を変更」を選択する
- 速度の百分率を入力するか、フレーム数を指定して速度を変更する
- 「リップルタイムライン」にチェックを入れると、速度変更に伴うクリップ長の変化に合わせて後続のクリップも自動で移動する
スピードランプ(リタイム制御)
DaVinci Resolveでは「リタイムコントロール」を使ってスピードランプを設定する。
- クリップを右クリック→「リタイムコントロール」を選択する
- クリップの上に速度バーが表示される
- 速度を変えたいポイントにプレイヘッドを移動し、速度バーの下向き三角をクリック→「スピードポイントを追加」を選択する
- スピードポイントで区切られた各セクションの速度をそれぞれ変更する
- セクション境界の上部にある三角マークをドラッグして、速度変化のカーブを調整する
Filmoraでの速度変更のやり方
Filmoraは直感的なUIで速度変更が行える。
一定速度の変更
- タイムライン上のクリップを右クリックし、「速度」→「一定速度」を選択する
- 速度スライダーをドラッグするか、数値を直接入力して速度を変更する
- 最大100倍速、最小0.01倍速まで設定できる
スピードランプ
Filmoraにもスピードランプ機能が搭載されており、あらかじめ用意されたプリセット(モンタージュ、ヒーロー、ブレットタイムなど)から選ぶだけで、プロっぽい速度変化を適用できる。カスタムでキーフレームを追加して独自のスピードランプを作ることも可能だ。
CapCutでの速度変更のやり方
スマートフォンアプリのCapCutでも速度変更は可能だ。
通常速度変更
- タイムライン上のクリップをタップして選択する
- 下部メニューから「速度」をタップする
- 「通常」を選択し、スライダーで0.1〜100倍速の間で速度を設定する
曲線速度(スピードランプ)
「速度」→「曲線」を選択すると、スピードランプのプリセットが複数表示される。「モンタージュ」「ヒーロー」「ブレット」「ジャンプカット」などから選べ、カスタムで自分好みのカーブを描くことも可能だ。無料で使えるスピードランプ機能としては非常に優秀だ。
スマホで撮影から編集まで完結させるなら、素材側のブレ対策もしておきたい。速度を落としたときほど手ブレが目立つので、ジンバルで撮った映像はスローとの相性が良い。

速度変更を効果的に使うシーン
スローモーションが効果的なシーン
- スポーツ・アクション:ゴールの瞬間やジャンプシーンを印象的に見せる
- 料理動画:ソースをかける瞬間や湯気が立ち上る様子をドラマチックに演出する
- 自然・風景:水しぶきや花びらが舞う瞬間を美しく捉える
- 感動的なシーン:卒業式や結婚式などの一瞬を強調する
早送りが効果的なシーン
- 移動シーン:移動の過程をテンポよく見せる
- 作業過程:料理やDIYの工程をダイジェストで見せる
- タイムラプス風:雲の動きや街の様子を早回しで見せる
- 退屈な場面のカット代わり:完全にカットするのではなく、早送りで存在は残しつつテンポアップする
スピードランプが効果的なシーン
- ハイライトの強調:通常速度→スロー→通常速度で、注目ポイントを際立たせる
- トラベルVlog:歩いている映像を加速→絶景スポットでスローに切り替える
- スポーツ:助走を早送り→ジャンプの瞬間をスロー→着地を通常速度に
速度変更の注意点
フレーム補間の設定に注意する
スローモーションにすると、フレーム間を補間する処理が行われる。Premiere Proでは「フレームブレンド」「オプティカルフロー」「フレームサンプリング」の3種類から選べる。オプティカルフローが最も滑らかだが処理に時間がかかる。通常の編集中は「フレームサンプリング」にしておき、最終書き出し時だけ「オプティカルフロー」に変更するのが効率的だ。
音声の扱い
速度を変更すると音声も影響を受ける。「オーディオのピッチを維持」にチェックを入れないと、早送りでは声が高くなり、スローでは低くなってしまう。BGMの場合はあえてピッチ変更を適用する演出もあるが、ナレーションの場合は「ピッチ維持」にチェックを入れよう。
撮影時のフレームレートを意識する
きれいなスローモーションを作るには、撮影時に高フレームレート(60fps、120fps、240fps)で撮影しておくことが前提になる。30fpsで撮影した映像を25%スロー(4倍引き伸ばし)にすると、結果的に7.5fpsとなり映像がカクカクになってしまう。
高フレームレートで撮ると、データの書き込み速度も必要になる。カードの規格が足りないと録画が途中で止まることがあるため、V60〜V90クラスのSDカードを用意しておくと安心だ。
Q&A:速度変更に関するよくある質問
Q. iPhoneのスロー撮影は何fpsで撮っている?
iPhoneのスローモーション撮影は、機種にもよるが240fpsまたは120fpsで記録される。240fpsなら通常の30fpsに対して8倍スローまで滑らかに再生できる計算になる。
Q. 速度変更すると画質は落ちる?
早送り(倍速再生)の場合、画質低下はほぼない。スローモーションの場合、元の撮影フレームレートが低いとフレーム補間が入り、わずかにアーティファクト(にじみ)が生じることがある。高フレームレート撮影が前提だ。
Q. スピードランプの速度変化はどれくらいが自然?
通常速度(100%)から一気に25%に落とすような急激な変化よりも、数フレームかけてイーズイン・イーズアウトで滑らかに変化させるほうが自然に見える。キーフレームのベジェカーブを活用しよう。
Q. タイムラプス動画を作るには何倍速がいい?
被写体によって異なるが、雲の流れなら10〜30倍速、街の人の流れなら5〜15倍速、植物の成長なら100倍速以上が目安だ。撮影時にインターバル撮影(コマ撮り)で収録すると、より滑らかなタイムラプスが作れる。
タイムラプスは長時間カメラを固定し続ける必要がある。少しでも動くと映像が破綻するので、しっかりした三脚を使うのが前提になる。
Q. 逆再生はどうやって設定する?
Premiere Proでは「速度・デュレーション」ダイアログの「逆再生」にチェックを入れるだけでOKだ。DaVinci Resolveではクリップを右クリック→「クリップの速度を変更」で逆再生オプションが見つかる。CapCutでは「速度」→「逆再生」をタップする。
まとめ
動画編集の速度変更は、スローモーション、早送り、スピードランプの3つが基本だ。どの編集ソフトでも基本的な操作は似ており、Premiere Proの「タイムリマップ」、DaVinci Resolveの「リタイムコントロール」、CapCutの「曲線速度」など、ソフトごとに名称は異なるがやれることは同じだ。
特にスピードランプは、映像にダイナミックな緩急をつけられる強力なテクニックだ。きれいなスローモーションを作るには撮影時の高フレームレート収録が前提になるので、撮影段階から意識しておこう。
参考リンク:


