動画編集を始めようとパソコンの購入を検討したとき、「どのスペックのPCを選べばいいのかわからない」という壁にぶつかる方は非常に多いです。CPU、メモリ、GPU、ストレージ…専門用語が並ぶと、それだけで諦めたくなる気持ちはよくわかります。
この記事では、動画編集に必要なパソコンのスペックを「CPU」「メモリ」「GPU」「ストレージ」の4つに分けて、初心者にもわかりやすく解説します。「フルHD編集ならこのスペック」「4K編集ならこのスペック」という目的別の目安も具体的にお伝えするので、PC選びの判断材料にしてください。
スペック不足のPCで動画編集を行うと、作業中にフリーズしたり書き出しに何時間もかかったりと、ストレスが溜まるだけです。適切なスペックのPCを選ぶことは、動画編集を楽しく続けるための大前提になります。

動画編集に重要な4つのスペック
動画編集用のPC選びで特に重要なのは、CPU、メモリ、GPU、ストレージの4つです。それぞれの役割と、動画編集における重要度を解説します。
CPU(プロセッサー)
CPUはパソコンの「頭脳」にあたるパーツで、動画編集においては最も重要な要素です。動画のエンコード(書き出し)やエフェクトの適用など、CPUに負荷がかかる処理が多いため、ここをケチると作業効率に直結します。
Intel製なら「Core i」シリーズ、AMD製なら「Ryzen」シリーズが一般的です。数字が大きいほど性能が高く、i5<i7<i9、Ryzen 5<Ryzen 7<Ryzen 9の順に高性能になります。
フルHD編集であればCore i5やRyzen 5でも対応できますが、4K編集やエフェクトを多用する場合はCore i7 / Ryzen 7以上が推奨されます。
メモリ(RAM)
メモリは「作業机の広さ」に例えられるパーツで、容量が大きいほど同時に多くの処理をスムーズに行えます。動画編集では大量のデータを一時的に保持しながら作業するため、メモリ不足はすぐに動作のカクつきやフリーズとして現れます。
- 16GB:フルHD動画の基本的な編集は可能。ただし余裕は少ない
- 32GB:4K編集や複数エフェクトの使用も快適。現在の推奨ライン
- 64GB以上:複数の高解像度動画を同時に扱う場合や、After Effectsでの重い作業向け
迷ったら32GBを選んでおけば、ほとんどの用途で不足を感じることはありません。
GPU(グラフィックボード)
GPUは映像処理を専門に行うパーツです。動画編集ソフトの多くがGPUアクセラレーション(GPUによる処理の高速化)に対応しており、GPUの性能が高いほどプレビューの再生がスムーズになり、書き出し時間も短縮されます。
NVIDIAの「GeForce RTX」シリーズが動画編集では定番で、Premiere ProやDaVinci ResolveなどのメジャーなソフトとNVIDIA GPUの相性が良好です。フルHD編集ならRTX 4060、4K編集ならRTX 4070以上が目安になります。
ストレージ(SSD / HDD)
動画ファイルは非常にサイズが大きいため、ストレージの速度と容量の両方が重要です。SSD(特にNVMe M.2 SSD)は必須で、HDDと比較して読み書き速度が5〜10倍高速です。
理想的な構成は、OSと編集ソフトをインストールするメインSSD(500GB〜1TB)に加えて、動画素材を保存するサブストレージ(1TB以上のSSDまたはHDD)を用意することです。
- CPU:最も重要。ここは妥協しない
- メモリ:32GBが現在の推奨ライン
- ストレージ:SSD(NVMe)は必須
- GPU:あると大きく快適になるが、予算次第で調整可能
編集内容別の推奨スペック
フルHD編集(初心者・YouTube入門)
YouTubeにフルHD(1080p)の動画を投稿する程度であれば、以下のスペックで快適に作業できます。
| パーツ | 推奨スペック |
|---|---|
| CPU | Intel Core i5(第13世代以降)/ AMD Ryzen 5 7000番台以降 |
| メモリ | 16GB(できれば32GB) |
| GPU | 内蔵GPUでも可。あればGeForce RTX 4060 |
| ストレージ | SSD 512GB以上 |
この構成であれば予算は10〜15万円程度で組めます。初めて動画編集用のPCを購入する方は、このクラスから始めるのが妥当です。
4K編集(中級者・本格制作)
| パーツ | 推奨スペック |
|---|---|
| CPU | Intel Core i7(第14世代以降)/ AMD Ryzen 7 7000番台以降 |
| メモリ | 32GB以上 |
| GPU | GeForce RTX 4070以上 |
| ストレージ | NVMe SSD 1TB以上 + データ用SSD 1TB |
4K編集ではファイルサイズがフルHDの4倍以上になるため、すべてのパーツに余裕を持たせる必要があります。予算は20〜30万円程度が目安です。

プロ向け(映像制作・After Effects多用)
| パーツ | 推奨スペック |
|---|---|
| CPU | Intel Core i9 / AMD Ryzen 9 |
| メモリ | 64GB以上 |
| GPU | GeForce RTX 4080以上 / RTX 5000番台 |
| ストレージ | NVMe SSD 2TB + データ用SSD 2TB以上 |
After Effectsでモーショングラフィックスを多用したり、8K素材を扱ったりする場合は、このクラスの構成が求められます。予算は40万円以上を見込んでおきましょう。
デスクトップとノートPCの選び方
デスクトップPCの強み
同じ予算であれば、デスクトップPCの方がノートPCよりも高い性能を得られます。パーツの交換やメモリの増設が容易なため、将来的なアップグレードにも対応しやすいのが大きなメリットです。
作業場所が固定されている方、高いパフォーマンスを求める方にはデスクトップPCが最適です。
ノートPCの強み
場所を選ばずに編集作業ができるのがノートPCの最大のメリットです。カフェや移動中、出張先でも作業できるため、外出が多い方やスペースに限りがある方に向いています。
ただし、ノートPCは発熱の問題があり、長時間の書き出し作業では性能が抑えられる(サーマルスロットリング)場合があります。動画編集用のノートPCを選ぶ際は、冷却性能にも注目しましょう。4DPocketのノートPCガイドも参考になります。
WindowsとMacの比較
Windowsを選ぶメリット
- 同じ性能のMacと比較してコストパフォーマンスが高い
- パーツの選択肢が豊富で、自作PCという選択肢もある
- AviUtlなどWindows専用のフリーソフトが使える
- ゲーム実況の編集にも向いている
Macを選ぶメリット
- Apple Siliconチップ(M3、M4シリーズ)はメディア処理に非常に強い
- Final Cut ProやiMovieなどApple製の編集ソフトが使える
- ハードとソフトが一体で最適化されているため、スペック以上の性能を発揮する
- ディスプレイの色再現性が高い
どちらを選ぶかは好みの問題も大きいですが、コスパ重視ならWindows、クリエイティブ作業の統合環境を求めるならMacという選び方が基本です。
予算別のおすすめ構成
10万円以下:最低限の編集環境
中古PCや型落ちモデルを狙えば、10万円以下でも動画編集は可能です。ただし、4K編集や重いエフェクトの使用は厳しいため、フルHDのカット編集+テロップが中心の方向けです。
15〜20万円:バランスの良い構成
この価格帯が動画編集用PCの「スイートスポット」です。Core i7 + 32GB + RTX 4060クラスの構成が組めるため、フルHD編集は快適、4K編集もある程度こなせます。多くの方にとって、この価格帯が最もコスパの高い選択です。
30万円以上:本格的な制作環境
予算に余裕がある場合は、Core i7/i9 + 64GB + RTX 4070/4080クラスの構成を検討しましょう。4K編集がストレスなく行え、After Effectsなどの重いソフトも快適に動作します。CyberLinkのスペック解説でも各価格帯の推奨構成が紹介されています。

PC購入時の注意点
モニターも重要
動画編集ではモニターの品質も作業効率に大きく影響します。色の正確さ(色域)、解像度、サイズの3つが特に重要です。最低でもフルHD(1920×1080)以上、できればWQHD(2560×1440)以上のIPSパネルモニターを選びましょう。
拡張性を確認する
メモリの増設スロットの空き、ストレージの追加スペース、USB端子の数と種類を事前に確認しておくと、後からのアップグレードがスムーズです。
CPUやGPUは後から交換するのが難しい(特にノートPC)ため、この2つだけは予算の許す限り良いものを選んでおくことをおすすめします。メモリとストレージは比較的簡単に増設・交換できます。
よくある質問(Q&A)
Q. 今持っているPCで動画編集ができるか確認する方法は?
Windowsの場合、「設定」→「システム」→「バージョン情報」でCPUとメモリの情報を確認できます。GPUは「タスクマネージャー」→「パフォーマンス」タブで確認可能です。使用予定の編集ソフトの推奨スペックと比較してみてください。
Q. メモリは後から増設できますか?
デスクトップPCの場合、多くのモデルでメモリの増設が可能です。ノートPCは機種によって異なり、メモリがマザーボードに直付けされていて増設できないモデルもあります。購入前にメモリスロットの空き状況を確認しておきましょう。
Q. 自作PCと既製品のどちらがいいですか?
パーツの知識がある方なら自作PCの方がコスパが高くなりますが、初心者にはBTOパソコン(注文時にパーツを選べる既製品)がおすすめです。ドスパラの動画編集PC解説でも初心者向けの構成が紹介されています。
Q. ゲーミングPCで動画編集はできますか?
はい、ゲーミングPCは高性能なCPUとGPUを搭載しているため、動画編集にも十分に対応できます。ゲームもする方であれば、ゲーミングPCを選ぶことで1台で両方をこなせるので効率的です。
Q. MacBookで4K動画の編集はできますか?
Apple Silicon(M3 Pro以上)を搭載したMacBookであれば、4K動画の編集は十分に快適です。Apple SiliconはメディアエンジンというAI専用チップを内蔵しており、動画のエンコードやデコードが非常に高速に処理されます。
まとめ
動画編集用PCの選び方は、自分がどのレベルの編集を行うかによって変わります。フルHD編集ならCore i5 + 16GB、4K編集ならCore i7 + 32GBが最低ラインです。GPUはあると快適ですが、まずはCPUとメモリを優先して選びましょう。
最も大切なのは「自分の用途に合ったスペックを選ぶこと」であり、必ずしも最高スペックが必要なわけではありません。予算15〜20万円の構成でも、多くの方にとって十分すぎる性能が手に入ります。
この記事を参考に、動画編集を快適に楽しめるPCを選んでください。

