DaVinci Resolveには「Fusion」というVFX・モーショングラフィックスのページが標準搭載されています。Fusionを使えば、テロップアニメーション・合成・トラッキング・パーティクルエフェクトなど、After Effectsに匹敵する高度な映像表現が無料でできるようになります。
ただし、Fusionは「ノードベース」という独特の操作体系を採用しており、初めて触る方は戸惑うことが多いです。この記事では、Fusionのノードの考え方から基本操作、実践的な使い方まで初心者向けにわかりやすく解説します。

Fusionとは?DaVinci Resolveの中のVFXツール
FusionはもともとBlackmagic Design社が単体ソフトとして販売していたVFXツールですが、DaVinci Resolveに統合されて無料で使えるようになりました。映像編集からVFX・モーショングラフィックスまでを一つのソフトで完結できるのがDaVinci Resolveの大きな強みです。
- Fusionはノードベースの合成・VFXツール
- テロップアニメーション・クロマキー合成・トラッキング・パーティクルなどが可能
- DaVinci Resolve無料版でも利用可能
- After Effectsのレイヤーベースとは異なるノードベースの操作体系
Fusionは触れる範囲が広いぶん、独学だと手が止まりやすい領域でもあります。カラーページやエディットページも含めて通しで学べる解説書があると、迷ったときの手掛かりになります。
ノードベースの考え方を理解しよう
Fusionを使いこなすうえで最初に理解すべきなのが「ノード」の概念です。
ノードとは?
ノードとは、映像処理の「部品」のようなもので、各ノードが1つの処理を担当します。テキストを表示するノード、背景を作るノード、2つの映像を合成するノードなど、それぞれ役割が決まっており、これらをつなげて映像を作り上げていきます。
レイヤーベースとの違い
After Effectsなどのレイヤーベースのツールでは、上から順にレイヤーを重ねて映像を作りますが、Fusionでは左から右へノードをつないで映像を作ります。慣れるまでは違和感があるかもしれませんが、複雑な合成を行う際にはノードベースのほうが柔軟に対応できます。
基本のノードの流れ
Fusionの基本的なノードの流れは以下のようになります。
- MediaIn:エディットページのタイムラインから映像を取り込むノード
- 各種処理ノード:テキスト・合成・エフェクトなどの処理
- MediaOut:処理結果をエディットページのタイムラインに戻すノード
MediaInからMediaOutまでがFusionの処理の流れで、この間にさまざまなノードを挟んで映像を加工していきます。

Fusionページの基本操作
Fusionページへのアクセス方法
- エディットページでFusion処理したいクリップを選択
- 画面下部のアイコンから「Fusion」ページに切り替える
- MediaInとMediaOutのノードが自動で配置された状態で表示される
ノードの追加方法
- ノードエリアで右クリック→「Add Tool」から追加
- 「Shift + スペース」でクイック検索を使い、ノード名を入力して追加
- ツールバーからドラッグ&ドロップで追加
Fusionはショートカット操作の比重が大きいページです。よく使うノード追加やビューアー切り替えを物理キーに割り当てておくと、作業のテンポが変わってきます。
ノードの接続方法
ノードの出力端子(右側の四角い点)から別のノードの入力端子(左側の三角の点)へドラッグしてつなげます。接続線がノード同士の「データの流れ」を表しています。
ビューアーでの確認
Fusionには2つのビューアーがあります。ノードを選択してキーボードの「1」を押すと左のビューアーに、「2」を押すと右のビューアーに表示されます。処理前と処理後を比較しながら作業するのに便利です。
よく使うFusionノードと実践例
Text+(テキスト表示)
テロップやタイトルを表示するノードです。フォント・サイズ・色・位置の設定に加え、キーフレームを使ったアニメーションも可能です。
- Shift+スペースで「Text+」と入力して追加
- インスペクターでテキスト内容やフォントを設定
- Mergeノードで映像と合成する
Merge(合成)
Mergeノードは2つの映像を重ね合わせるための基本ノードです。背景(Background入力)の上に前景(Foreground入力)を重ねる形で合成します。Fusionでは非常に頻繁に使うノードです。
Background(背景生成)
単色やグラデーションの背景を作成するノードです。テロップの背景やマスクの作成などに使います。
Transform(変形・移動)
映像の位置・サイズ・回転を変更するノードです。キーフレームを設定してアニメーションさせることもできます。
Delta Keyer(クロマキー合成)
グリーンバックやブルーバックの映像から背景を抜く際に使うノードです。DaVinci ResolveのDelta Keyerは高精度で、多くのプロにも使われています。
クロマキーの仕上がりは、撮影時の背景の均一さでほぼ決まります。壁に貼れる布タイプなら数千円から用意できるので、合成を試してみたい方は先に背景を揃えておくと結果が安定します。

Fusionでキーフレームアニメーションを作る方法
Fusionの強みの一つが、柔軟なキーフレームアニメーションです。
キーフレームの設定手順
- アニメーションさせたいパラメーター(位置・サイズなど)の右にある小さなひし形アイコンを右クリック
- 「Animate」を選択してキーフレームモードにする
- タイムラインの開始位置で値を設定
- タイムラインの終了位置に移動して別の値を設定
- 2点間が自動的に補間されてアニメーションになる
スプラインエディターでアニメーションを微調整
キーフレームの補間カーブ(イーズイン・イーズアウト)を調整するには、スプラインエディターを使います。滑らかな動きや急激な動きなど、アニメーションのニュアンスを細かくコントロールできます。
Fusion活用のコツとトラブル対策
パフォーマンスを維持するコツ
- ノードが増えるとプレビューが重くなるため、不要なノードは無効化(Ctrl+P)する
- プロキシモードを有効にしてプレビュー解像度を下げる
- GPUアクセラレーションが有効になっているか確認する
ノードが正しく表示されない場合
ノードの接続が間違っていないか確認してください。特にMergeノードのForeground入力とBackground入力が逆になっていると、期待どおりの合成にならないことがあります。
FusionはGPUの処理能力に大きく依存します。ノードを多用した複雑なコンポジションでは、GPUメモリ不足でプレビューが止まることがあります。その場合はノードを分割するか、プロキシモードで作業し、最終書き出し時にフル解像度にする方法がおすすめです。
それでもプレビューが止まる頻度が高いなら、VRAM容量に余裕のあるGPUへの入れ替えが選択肢に入ってきます。Fusionを常用する予定があるなら検討してみてください。
Q&A:DaVinci Resolve Fusionでよくある質問
Q. FusionとAfter Effectsはどちらがいい?
用途や好みによります。Fusionはノードベースで複雑な合成に強く、無料で使えるのが大きなメリットです。After Effectsはレイヤーベースで直感的に操作でき、プラグインやテンプレートのエコシステムが充実しています。どちらも学ぶ価値は十分あります。
Q. 無料版のFusionに制限はある?
基本的な合成・アニメーション機能は無料版で利用可能です。有料版(Studio)では、一部の高度な3D機能やGPUアクセラレーション処理が追加されます。学習段階では無料版で十分です。
Q. Fusionのおすすめ学習リソースは?
Blackmagic Design公式のチュートリアル動画や、UdemyのFusion入門コースが体系的に学べます。YouTubeでも「DaVinci Resolve Fusion 入門」で検索すると多数の解説動画が見つかります。公式マニュアルも非常に詳細です。
Q. エディットページの「Fusionコンポジション」との違いは?
エディットページから直接追加できる「Fusionコンポジション」は、新しい空のFusionコンポジションを作成します。一方、既存のクリップを選択してFusionページに移動すると、そのクリップの映像を元にFusion処理を行います。用途に応じて使い分けてください。
Fusionの実用的な活用シーン
Fusionはどんな場面で活用できるのか、具体的なシーンを紹介します。
YouTube動画のオープニング・エンディング作成
FusionのText+とアニメーション機能を使えば、印象的なオープニングタイトルを自分で作ることができます。テンプレートに頼らないオリジナルのオープニングは、チャンネルの個性を出すのに効果的です。
ローワーサード(名前テロップ)の作成
インタビュー動画や解説動画で使う人物名表示(ローワーサード)も、Fusionで作れます。背景のシェイプ・テキスト・アニメーションを組み合わせて、プロ仕様のデザインに仕上げましょう。
クロマキー合成でバーチャル背景
グリーンバックで撮影した映像の背景を入れ替えるクロマキー合成は、Fusionの得意分野です。Delta Keyerの精度は業界でも高く評価されているため、自然な合成が実現できます。
モーショングラフィックス
図形や文字を動かすモーショングラフィックスも、Fusionで作成可能です。解説動画のインフォグラフィックスや、プロモーション動画のアニメーションロゴなどに活用できます。

まとめ
DaVinci Resolve Fusionは、無料で使える本格的なVFX・モーショングラフィックスツールです。ノードベースの操作は最初こそ戸惑いますが、「データの流れ」を意識すれば理解は早いです。まずはText+とMergeでテロップアニメーションを作るところから始めて、徐々にクロマキー合成やパーティクルなどの高度な機能に挑戦してみてください。DaVinci Resolve一つで編集・カラー・VFXが完結するのは、他のソフトにはない大きな強みです。


