動画編集で作業スピードを上げたいなら、ショートカットキーの習得は避けて通れません。マウスでメニューを開いて操作するのと、キーボードのワンタッチで操作するのとでは、1回の動作で2〜3秒の差が生まれます。
「たった数秒」と思うかもしれませんが、動画編集では同じ操作を何百回も繰り返します。1回3秒の差が100回重なれば5分、1000回なら50分の短縮になります。
この記事では、主要な動画編集ソフト(Premiere Pro・DaVinci Resolve・Final Cut Pro)のショートカットキーを網羅的にまとめました。まずはよく使うものから覚えて、徐々にレパートリーを増やしていきましょう。

Premiere Proの必須ショートカットキー
Adobe Premiere Proは業界標準の動画編集ソフトです。まずは最低限覚えておきたいショートカットから紹介します(Windows版を基本に記載、Macの場合はCtrlをCmdに読み替えてください)。
基本操作のショートカット
まず覚えるべき10個のショートカット
- V:選択ツール(最も使う基本ツール)
- C:レーザーツール(カット)
- Q:選択クリップの前をリップルトリム
- W:選択クリップの後をリップルトリム
- スペースキー:再生/停止
- J・K・L:巻き戻し・一時停止・早送り
- Ctrl+Z:元に戻す
- Ctrl+Shift+Z:やり直し
- Ctrl+S:保存
- Ctrl+M:書き出し
編集作業を加速するショートカット
- I / O:イン点 / アウト点を設定
- Shift+Delete:リップル削除(隙間を詰めて削除)
- Ctrl+K:再生ヘッドの位置でカット
- Home / End:タイムラインの最初 / 最後に移動
- 上下矢印:前後の編集点に移動
- +(プラス) / -(マイナス):タイムラインのズームイン / アウト
- Shift+1〜9:パネルの切り替え
- Ctrl+D:デフォルトのトランジションを適用
特にQ・Wのリップルトリムは、カット編集の速度を劇的に向上させるショートカットです。使い慣れたら手放せなくなります。
ショートカット中心の操作になると、キーボードに触れる時間も自然と長くなります。押し心地がはっきりしたメカニカルキーボードは、キーを押したかどうかを指先で判断しやすいのが利点です。
DaVinci Resolveの必須ショートカットキー
DaVinci Resolveは無料版でもプロ並みの機能を備えたソフトです。Premiere Proとは一部異なるキー配置になっています。
基本操作のショートカット
- A:選択ツール
- B:ブレードツール(カット)
- T:トリムツール
- スペースキー:再生/停止
- J・K・L:巻き戻し・一時停止・早送り
- Ctrl+Z:元に戻す
- Ctrl+Shift+Z:やり直し
- Ctrl+S:保存
DaVinci Resolve独自の便利なショートカット
- Shift+[ / Shift+]:選択クリップの前後をトリム
- I / O:イン点 / アウト点を設定
- Ctrl+Shift+,:上書き挿入
- Delete:削除(ギャップが残る)
- Ctrl+Shift+X:リップル削除
- Shift+1〜8:ページの切り替え(メディア/カット/エディット/Fusion/カラー等)
- Ctrl+F:全画面プレビュー
DaVinci Resolveではカットページとエディットページでショートカットが異なる場合があるので注意が必要です。カットページはスピード重視の簡易編集向け、エディットページはより細かい編集向けに設計されています。

Final Cut Proの必須ショートカットキー
Final Cut ProはMac専用の動画編集ソフトで、Apple製品との連携に優れています。
基本操作のショートカット
- A:選択ツール
- B:ブレードツール(カット)
- T:トリムツール
- スペースキー:再生/停止
- J・K・L:巻き戻し・一時停止・早送り
- Cmd+Z:元に戻す
- Cmd+Shift+Z:やり直し
Final Cut Pro独自の便利なショートカット
- I / O:イン点 / アウト点を設定
- Q:接続編集(プライマリストーリーラインに接続)
- W:挿入編集
- E:追加編集(末尾に追加)
- Cmd+B:再生ヘッドでカット
- Delete:リップル削除
- Option+W:ギャップクリップを挿入
- Ctrl+T:デフォルトタイトルを追加
Final Cut Proのマグネティックタイムラインは、クリップの削除時に自動で隙間が埋まるため、リップル削除を意識する必要がないのが特徴です。この仕組みを理解していると、編集がさらにスムーズになります。
ソフト別ショートカット対応表
主要な操作について、3つのソフトのショートカットを対応表でまとめました。
ソフト間の対応早見表
| 操作 | Premiere Pro | DaVinci Resolve | Final Cut Pro |
|---|---|---|---|
| 選択ツール | V | A | A |
| カットツール | C | B | B |
| 再生/停止 | スペース | スペース | スペース |
| 巻き戻し/早送り | J/L | J/L | J/L |
| 元に戻す | Ctrl+Z | Ctrl+Z | Cmd+Z |
| イン点/アウト点 | I/O | I/O | I/O |
| 保存 | Ctrl+S | Ctrl+S | 自動保存 |
J・K・Lキーによる再生コントロールやI・Oのイン/アウト点設定は、多くのソフトで共通しているため、一度覚えれば他のソフトに移行しても使えます。
ショートカットを効率よく覚える方法
ショートカットキーは数が多いため、一度に全てを覚えようとすると挫折します。効果的な覚え方を紹介します。
1週間に3〜5個ずつ覚える
まずは最も使用頻度の高い5つ(選択・カット・再生/停止・元に戻す・保存)を覚え、それが体に染みついたら次の5つを追加する、という段階的なアプローチが効果的です。
マウスを意識的に使わない時間を作る
「今日の編集作業の最初の30分はマウスを使わない」と決めて、強制的にショートカットを使うようにすると、体が早く覚えます。
ただしキーボード中心の操作に切り替えると、手首を浮かせたままの時間が増えます。長時間の編集が続くならリストレストを1つ置いておくと、手首の角度を保ちやすくなります。
デスクに一覧表を貼る
よく使うショートカットの一覧表をモニターの横やデスクに貼っておくと、忘れたときにすぐ確認できます。最初のうちは見ながら操作し、慣れてきたら表を見なくても打てるようになるのを目指しましょう。
カスタマイズで自分仕様にする
Premiere ProやDaVinci Resolveでは、ショートカットキーのカスタマイズが可能です。よく使う操作を左手の押しやすいキーに割り当てると、さらに効率が上がります。
ショートカットをカスタマイズする場合は、デフォルト設定のバックアップを取っておきましょう。チーム作業時に他のメンバーのPCで操作する場面では、デフォルト設定が必要になることがあります。

よくある質問(Q&A)
Q. 左利きの場合はショートカットをどう設定すべき?
左利きの場合、右手でキーボードを操作することになるため、テンキー側のキーにカスタマイズすると使いやすくなります。ソフトのショートカット設定画面から自由に変更可能です。
Q. ショートカットキーが多すぎて覚えられないのですが?
全部覚える必要はありません。日常的に使う操作は限られているため、自分がよく使う10〜20個のショートカットを覚えるだけで十分に効率化できます。残りは必要になったときに調べて少しずつ追加していきましょう。
Q. CapCutやFilmoraにもショートカットはある?
CapCut(デスクトップ版)やFilmoraにもショートカットキーが用意されています。基本的な操作(再生/停止、カット、元に戻すなど)はどのソフトでも似た配置になっているので、一つのソフトで覚えたショートカットの知識は他のソフトでも応用できます。
ショートカットキーの練習方法とおすすめリソース
ショートカットキーを効率よく身につけるための練習方法と、参考になるリソースを紹介します。
実際の編集プロジェクトで使う
ショートカットを覚えるのに最も効果的なのは、実際の編集作業の中で意識的に使うことです。練習のための練習ではなく、本番の編集で使うことで体に定着しやすくなります。
チートシートを活用する
各ソフトの公式サイトでは、ショートカットキーのチートシート(早見表)がPDFで配布されていることがあります。印刷してデスクに置いておくと、必要なときにすぐ確認できて便利です。
マウスを封印する日を作る
1日の編集作業のうち、意識的にマウスを使わずキーボードだけで操作する時間を設けてみましょう。最初は不便に感じますが、2〜3日続けるだけでショートカットが指に染みついてきます。
Premiere Proキーボードショートカット(Adobe公式)
Final Cut Proキーボードショートカット(Apple公式)
ゲーミングキーボードやマクロパッドの活用
ショートカットキーをさらに効率的に使いたい方には、ゲーミングキーボードやマクロパッド(Stream Deckなど)の導入も選択肢の一つです。
Stream Deckの活用
Elgato Stream Deckは、各ボタンに任意のショートカットやマクロを割り当てられるデバイスです。よく使う操作をボタン一つで実行できるため、ショートカットキーを覚える負担を減らしながら作業効率を上げることができます。Premiere ProやDaVinci Resolveとの連携プロファイルも公開されているため、導入もスムーズです。
左手用デバイスの活用
TourBox、Loupedeck、Orbitalなどの左手用デバイスは、動画編集に特化したダイヤルやボタンを備えています。タイムラインのスクロール、音量調整、ジョグシャトルなどを物理的なダイヤルで操作できるため、マウスとキーボードだけでは実現しにくい直感的な操作が可能になります。
まとめ
動画編集のショートカットキーは、編集スピードを上げるために最もコストパフォーマンスが高い投資です。
まずは自分が使っているソフトの基本的なショートカットを5つ覚えることから始めてみてください。それだけで、毎回の編集作業が少し速くなるのを実感できるはずです。
慣れてきたら徐々にレパートリーを増やし、最終的には指が勝手に動くレベルを目指しましょう。ショートカットの習得は、動画クリエイターとしてのスキルアップの第一歩です。


