インタビュー動画は企業の採用コンテンツ、商品・サービスの導入事例、YouTubeのドキュメンタリー企画など、さまざまな場面で活用されています。しかし、撮影した素材をそのまま並べただけでは冗長になりがちで、視聴者が途中で離脱してしまうことも少なくありません。
インタビュー動画の編集では「いかに飽きさせない構成を作るか」が最大のポイントです。話の間(ま)のカット、テロップの入れ方、カメラアングルの切り替え、BGMの選定など、編集段階での工夫によって動画の印象が大きく変わります。
この記事では、インタビュー動画を見やすく仕上げるための具体的な編集テクニックを、カット編集・テロップ・音声処理・構成の4つの観点から解説します。

インタビュー動画の基本構成
編集に入る前に、完成形の構成を考えておくことが大切です。視聴者が最後まで見たくなるインタビュー動画の典型的な構成を紹介します。
オープニング(0〜15秒)
動画の冒頭で「この動画は何について話すのか」を明確に伝えます。インタビューの中で最もインパクトのある発言を冒頭に持ってくる「フック」のテクニックが効果的です。視聴者の興味を引き、最後まで見る動機を与えます。
導入(15〜60秒)
インタビュー対象者の紹介(名前・所属など)と、インタビューのテーマや背景を簡潔に説明します。テロップで名前と肩書きを表示するローワーサードを使うのが一般的です。
本編(動画の大部分)
質問と回答を軸に構成します。1つのトピックを3〜5分以内にまとめ、話題が変わるタイミングでテロップやカットインを入れて視覚的な区切りを作ると、テンポの良い動画になります。
エンディング(最後の30〜60秒)
インタビュー全体のまとめ、視聴者への呼びかけ、関連動画への誘導などを入れます。企業コンテンツの場合は、商品・サービスへのCTAをここに配置します。
カット編集のテクニック
インタビュー動画のカット編集は、「不要な部分を削る」という作業が中心です。以下のテクニックを使うと、テンポの良い動画に仕上がります。
「えー」「あのー」のフィラーを削除する
インタビュー中に頻出する「えー」「あのー」「うーん」などのフィラー(言い淀み)は、基本的にカットします。これだけで動画のテンポが格段に良くなります。ただし、すべてを機械的に削除すると不自然になるため、考えている様子を見せたい場面では意図的に残す判断も必要です。
ジャンプカットとカットアウェイ
同じアングルの映像でフィラーを削除すると、画面がピクッと飛ぶ「ジャンプカット」が発生します。これを自然に見せるテクニックが「カットアウェイ」です。
カットアウェイとは、カットのつなぎ目に別の映像(インサート映像)を挿入する手法です。例えば、話者が手元の資料を見ているカット、オフィスの風景、製品のアップ映像などを挿入することで、ジャンプカットを自然に隠せます。
マルチカメラ編集の活用
2台以上のカメラで異なるアングルから撮影した素材を切り替えながら編集するマルチカメラ編集は、インタビュー動画の編集で最も効果的なテクニックの一つです。
正面からのミディアムショットと、やや斜めからのクローズアップを切り替えることで、単調さを解消できます。CINEMATOの制作ガイドでも、マルチカメラの活用がインタビュー動画の質を高める基本テクニックとして紹介されています。
- 話の「オチ」を考えてから逆算してカットする
- 1つの回答は長くても2〜3分以内にまとめる
- カットのタイミングは呼吸の切れ目に合わせる
- 前後の文脈が繋がるように注意して削る
テロップの入れ方
インタビュー動画のテロップは、大きく「全文字幕」と「ポイント字幕」の2つのスタイルに分かれます。
全文字幕スタイル
話している内容をすべてテキスト化するスタイルです。音を出せない環境での視聴にも対応でき、外国語話者のインタビューに日本語字幕をつけるケースでも使われます。制作に時間がかかりますが、AI自動字幕ツール(Vrewなど)を活用すれば効率化できます。
ポイント字幕スタイル
重要なキーワードやフレーズだけをテロップで強調するスタイルです。画面がすっきりした印象になり、視聴者の注意を本当に重要な部分に集中させられます。話者の表情や雰囲気を活かしたい場合に向いています。
効果的なテロップデザインのコツ
- ローワーサード:画面下部1/3に話者の名前と所属を表示する定番のテロップ。最初の登場時と、話題が切り替わるタイミングで表示する
- 質問テロップ:インタビュアーの質問をテロップで表示する方法。質問が画面に出ることで視聴者がインタビューの文脈を把握しやすくなる
- キーワードの強調:重要な言葉だけ色やサイズを変えて目立たせる。あまり頻繁に使うと効果が薄れるので、1回の回答につき1〜2箇所に留める

音声の処理と調整
インタビュー動画では、話者の声が明瞭に聞こえることが最も重要です。音声の処理で気をつけるべきポイントを解説します。
音量の均一化(ラウドネス調整)
インタビュー中は話者の声のボリュームが一定ではなく、小さく話したり大きく話したりします。コンプレッサーを使って音量差を均一にし、リミッターで音割れを防ぎます。目標の音量レベルは-14LUFS前後が、YouTubeでの再生に適した値です。
ノイズリダクション
収録環境によってはエアコンの音、外の車の音、隣室の話し声などが入り込むことがあります。前の記事で解説したノイズ除去テクニックを使って、話者の声以外の雑音を除去しましょう。
BGMの選定と音量バランス
インタビュー動画のBGMは、話者の声を邪魔しないおとなしめの楽曲を選ぶのが鉄則です。音量は話者の声の1/5〜1/10程度に抑え、あくまで「雰囲気作り」の役割に留めます。
場面転換のタイミングでBGMを切り替えると、トピックの変化を聴覚的にも伝えることができます。DOVA-SYNDROMEやArtlistなどのBGM素材サイトで、インタビュー向けの楽曲を探してみてください。
映像の演出テクニック
Bロールの活用
Bロール(インサート映像)は、インタビュー動画に視覚的な変化をもたらす重要な要素です。話者が言及している内容に関連する映像を挿入することで、話の理解を助けると同時に、画面の単調さを解消します。
例えば、工場について話している場面では工場の映像を、商品について説明している場面では商品のアップ映像を挿入します。
カラーグレーディング
インタビュー動画のカラーグレーディングは、派手にする必要はありません。肌色が自然に見えることを最優先に、全体のトーンを整える程度にとどめるのが良いです。ホワイトバランスの補正と露出の調整だけでも、映像の印象は大きく改善します。
グラフィック要素の挿入
統計データやキーワードをグラフィックで表示することで、情報の訴求力が高まります。After Effectsで作成したモーショングラフィックスを挿入すれば、プロフェッショナルな仕上がりになります。
インタビュー動画では、話者の発言内容を編集で歪めないように注意してください。前後の文脈を無視して発言を切り貼りすると、元の意図とは異なるメッセージになってしまう可能性があります。特に企業コンテンツでは、編集後の内容を話者本人に確認してもらうことをおすすめします。
効率化のためのツールとテクニック
AI文字起こしツールの活用
インタビューの文字起こしをAIツールに任せると、編集作業が大幅に効率化されます。Vrewは動画ファイルをインポートするだけで自動的に文字起こしとテロップ生成を行ってくれます。テキストベースで不要な部分を削除できるため、波形を見ながらカットするより直感的です。
テンプレートの作成
シリーズもののインタビュー動画を制作する場合は、テロップのデザイン、ローワーサード、トランジション、BGMなどをテンプレート化しておくと、2本目以降の作業が格段に速くなります。Premiere Proの「エッセンシャルグラフィックス」でテンプレートとして保存しておくと便利です。

よくある質問(Q&A)
Q. インタビュー動画の適切な長さは?
YouTube向けなら5〜15分程度が視聴維持率を保ちやすい長さです。企業の採用コンテンツや事例紹介なら3〜5分にまとめると、最後まで見てもらえる確率が上がります。30分以上のインタビューは、テーマごとに分割して複数の動画にするのも効果的です。
Q. インタビュアーの声は入れるべきですか?
スタイルによります。ドキュメンタリー風に仕上げたい場合はインタビュアーの声を入れず、話者の回答だけで構成するのが一般的です。対談形式で臨場感を出したい場合はインタビュアーの声も残します。質問だけテロップで表示するという折衷案もあります。
Q. カメラは何台必要ですか?
最低2台あると編集の幅が大きく広がります。1台は正面からのミディアムショット、もう1台はやや角度をつけたクローズアップというセッティングが基本です。1台でも編集は可能ですが、カットアウェイ用のBロール素材を多めに撮影しておく必要があります。
Q. BGMはずっと流し続けるべきですか?
必ずしも全編にBGMを入れる必要はありません。感情的な場面や重要な発言の場面では、あえてBGMを外して「間」を作ることで、メッセージの重みが増すことがあります。BGMの有無でメリハリをつけるのも演出テクニックの一つです。
Q. インタビュー動画の編集に何時間くらいかかりますか?
素材の長さや仕上げのクオリティによりますが、30分の収録素材を5分の動画に編集する場合、カット編集に2〜3時間、テロップ挿入に2〜3時間、音声処理・BGM・仕上げに1〜2時間程度が目安です。AI文字起こしツールを活用すれば、全体で30〜40%程度の時間短縮が見込めます。
まとめ
インタビュー動画の編集は、カット編集・テロップ・音声処理・映像演出の4つの要素を総合的にコントロールすることで、視聴者を引きつける動画に仕上がります。
特に重要なのは、フィラーの削除によるテンポの改善、マルチカメラ編集やBロールによる視覚的な変化、そして話者の声を明瞭に届けるための音声処理です。AI文字起こしツールも積極的に活用して、効率よくクオリティの高いインタビュー動画を制作してください。
最初は時間がかかっても、テンプレートの蓄積や編集パターンの習得によって、2本、3本と経験を重ねるごとに効率は上がっていきます。

