4Kや8Kの高解像度素材を編集しようとすると、PCが重くなってプレビューがカクカクする…という経験はないでしょうか。そんなときに活躍するのが「プロキシ編集」という手法です。
この記事では、プロキシ編集の基本的な仕組みと、Premiere ProおよびDaVinci Resolveでの具体的なやり方を解説します。ノートPCやスペックが限られたPCでも快適に高解像度素材を編集できるようになるので、ぜひ活用してみてください。

プロキシ編集とは
プロキシ編集とは、元素材の軽量コピー(プロキシファイル)を使って編集を行い、書き出し時に元の高解像度素材に自動的に差し替える手法です。
4Kや8Kの素材はファイルサイズが大きく、PCのCPUやGPUに大きな負荷がかかります。プロキシ編集では、解像度やビットレートを下げた軽量なコピーファイルで編集作業を進めるため、PCへの負荷が大幅に軽減されます。最終的な書き出しでは元の高解像度素材が使われるため、画質が劣化する心配はありません。
プロキシ編集が有効なケース
- 4K以上の高解像度素材を編集するとき
- ノートPCなどスペックが限られたPCで編集するとき
- マルチカム編集で複数アングルの映像を同時に扱うとき
- ドローン映像やGoProなどの高ビットレート素材を扱うとき
- 編集中にプレビューがカクつく・フリーズするとき
特にノートPCでは、負荷が続くと本体が熱を持って動作がさらに落ちることがあります。プロキシ編集と合わせて、底面から風を送る冷却台を使っている人もいます。
Premiere Proでのプロキシ編集のやり方
ステップ1:素材を読み込む
まずは通常通り、プロジェクトに4K素材を読み込みます。この段階ではまだプロキシファイルは作成されていません。
ステップ2:プロキシを作成する
プロジェクトパネルで素材を選択し、右クリックから「プロキシ」→「プロキシを作成」を選びます。フォーマットは「H.264」や「QuickTime」が一般的です。プロキシの解像度は元素材の1/4(4K素材なら1080p相当)がバランスの良い設定です。
プロキシの作成はAdobe Media Encoderがバックグラウンドで処理してくれるため、作成中も別の作業を続けることができます。
ステップ3:プロキシ表示を有効にする
プログラムモニターの右下にある「+」ボタンから「プロキシの切り替え」ボタンをモニターに追加します。このボタンをオンにすると、プレビューでプロキシファイルが使用され、操作が軽快になります。
ステップ4:書き出し時に自動で元素材に切り替え
最終書き出し時には自動的に元の高解像度素材が使われます。特別な操作は必要ありません。プロキシ表示のオン/オフは編集中のプレビュー画質にだけ影響し、書き出し品質には影響しません。

DaVinci Resolveでのプロキシ編集のやり方
方法1:プロキシメディアを生成する
メディアプールで素材を右クリックし、「プロキシメディアを生成」を選択します。DaVinci Resolveが自動的にプロキシファイルを作成してくれます。
方法2:最適化メディアを使う
DaVinci Resolveには「最適化メディア」という機能もあります。プロキシメディアと似ていますが、最適化メディアは編集ソフト内部で使う軽量版ファイルとして機能します。右クリックから「最適化メディアを生成」を選ぶことで利用できます。
プロキシモードの切り替え
プレビュー画面右上のメニューから「プロキシを優先」をオンにすると、編集中のプレビューにプロキシファイルが使用されます。この設定をオフにすれば、いつでも元素材のプレビューに切り替えることができます。
書き出し設定
DaVinci Resolveでも、書き出し時にはプロキシではなく元素材が自動的に使用されます。デリバーページで通常通り書き出し設定を行えば、元素材のフル解像度で出力されます。

プロキシ編集の注意点
- プロキシファイルの保存先に注意:元素材と同じドライブに保存するとストレージが圧迫される。別のドライブやフォルダに分けて管理するのがおすすめ
- 元素材を削除・移動しない:プロキシファイルだけでは最終書き出しができない。元素材のパスが変わるとリンク切れが発生する
- プロキシ作成に時間がかかる:素材の量が多い場合、プロキシの生成に数十分~数時間かかることがある。夜間や休憩中に生成しておくのが効率的
- カラーグレーディングはプロキシモードをオフにして確認:色の微調整はプロキシ画質では正確に判断できない
プロキシ編集をさらに快適にするコツ
SSDを活用する
プロキシファイルの保存先にSSDを使うと、読み込み速度が速くなり、編集のレスポンスがさらに向上します。外付けSSDにプロキシファイルを保存するのは、コストパフォーマンスの高い方法です。
プロキシ解像度の選択
プロキシの解像度は低くしすぎると、編集中の映像がぼやけてフレーミングの確認がしにくくなります。4K素材の場合はフルHD(1920×1080)のプロキシが、8K素材の場合は4K(3840×2160)のプロキシがバランスの良い選択です。
不要なプロキシファイルは定期的に削除する
プロジェクトが完了したら、プロキシファイルは削除してストレージを確保しましょう。元素材さえあれば、いつでもプロキシを再生成できます。
プロキシ編集なしで軽くする方法
プロキシ編集以外にも、PCの負荷を軽減する方法があります。
- プレビューの解像度を下げる(1/2、1/4に設定)
- エフェクトを一時的に無効化する
- バックグラウンドで動作している不要なアプリケーションを閉じる
- メモリの増設やGPUのアップグレードを検討する
この中でも比較的手を出しやすいのがメモリの増設です。編集ソフトを複数立ち上げる使い方をするなら、容量に余裕を持たせておくと動作の安定につながります。

プロキシ編集のワークフロー全体像
推奨ワークフロー
- STEP1:素材を取り込んだら、まずプロキシファイルを生成する
- STEP2:プロキシモードをオンにして編集作業を進める
- STEP3:カット編集、テロップ、BGMなどの基本編集を行う
- STEP4:カラーグレーディング時はプロキシモードをオフにして色を確認する
- STEP5:最終チェック後、プロキシモードをオフにして書き出す
プロキシ編集を使う際のファイル管理
プロキシ編集では、元素材とプロキシファイルの2種類のファイルを管理する必要があります。元素材のフォルダとプロキシファイルのフォルダは別々に管理し、元素材のファイル名やフォルダ構成を変更しないことが重要です。パスが変わるとリンク切れが発生し、書き出しができなくなります。
チームでプロキシ編集を活用する場合
複数人で1つのプロジェクトを編集する場合、プロキシファイルを共有ドライブに置くことで、チーム全員が軽快に編集作業を行えます。NAS(ネットワーク接続ストレージ)にプロキシファイルを保存し、元素材はローカルのSSDに保持するという構成が一般的です。

プロキシ編集に関するよくある質問
Q. プロキシ編集をすると画質が劣化しますか?
最終的な書き出し時には元の高解像度素材が自動的に使用されるため、出力される動画の画質は一切劣化しません。プロキシファイルが使われるのは編集中のプレビュー画面のみです。安心してプロキシ編集を活用してください。
Q. プロキシファイルの作成にはどれくらい時間がかかりますか?
素材の量やPCのスペックによりますが、1時間分の4K素材をプロキシ化するのに15分~1時間程度かかるのが一般的です。Premiere Proの場合はAdobe Media Encoderがバックグラウンドで処理してくれるため、プロキシ生成中も別の作業を続けることができます。
Q. プロキシ編集と「プレビュー解像度を下げる」方法の違いは?
プレビュー解像度を下げる方法は手軽ですが、タイムライン上の素材自体は高解像度のままなので、PCへの負荷は根本的には変わりません。一方、プロキシ編集は実際に軽量なファイルに差し替えるため、PCへの負荷が大幅に軽減されます。4K以上の素材を扱う場合はプロキシ編集の方が効果的です。
Q. Final Cut Proでもプロキシ編集はできますか?
Final Cut Proにもプロキシ編集の機能があります。読み込み時に「プロキシメディアを作成」にチェックを入れるだけで、自動的にプロキシファイルが生成されます。表示メニューから「プロキシのみ」を選ぶと、編集中にプロキシが使用されます。Final Cut Proの場合もカメラから書き出す際は元素材が使われるため、画質の劣化はありません。
Q. プロキシファイルはどこに保存されますか?
Premiere Proの場合、デフォルトではプロジェクトファイルと同じフォルダ内に「Proxy」フォルダが作成され、そこにプロキシファイルが保存されます。DaVinci Resolveの場合は、プロジェクト設定のキャッシュフォルダに保存されます。ストレージの圧迫を防ぐために、外付けドライブに保存先を変更するのもおすすめです。
Q. プロジェクト完了後、プロキシファイルは削除してもいいですか?
はい、プロジェクトが完了し最終書き出しも済んだら、プロキシファイルは削除して問題ありません。元素材さえあれば、いつでもプロキシを再生成できます。ストレージの節約のためにも、完了したプロジェクトのプロキシファイルは定期的に削除するのがおすすめです。
まとめ
プロキシ編集は、4K以上の高解像度素材をスムーズに編集するための非常に有効な手法です。Premiere ProでもDaVinci Resolveでも簡単にプロキシを作成でき、書き出し時には自動で元素材に切り替わるため、画質を犠牲にすることなく快適な編集環境を手に入れられます。ノートPCやスペックが限られたPCでも、プロキシ編集を活用すれば4K編集が十分に可能です。
プロキシ編集の詳しい手順はM Visuals「プロキシ編集とは?DaVinci Resolveで軽くする方法」でも解説されています。Premiere Proのプロキシ設定はJMPlanning「プレミアのプロキシ編集を解説」も参考になります。


